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「高木基金に期待する「プラットフォーム」の役割」

  関 礼子さん(立教大学社会学部教授/高木基金選考委員)

2016 年度から選考委員をお引き受けいただいた関礼子さんにお話を伺いました。
(インタビュー実施日:2017年4月/聞き手:高木基金事務局長 菅波 完)



― 高木基金や高木仁三郎さんについては、もともとどのような印象をお持ちでしたか。

 高木仁三郎さんがご存命の頃、北海道の前任校で「原子力資料情報室通信」を取り寄せて読んでいました。鉱害・公害や自然保護の問題を研究しており、ウラン鉱山の問題に関心を寄せていたからです。私にとっては、公害問題であれば自主講座の宇井純さん、原発問題ならば市民科学の高木仁三郎さん。お二人が科学を被害者や市民の目線に引き戻す活動に尽力した双璧でした。
 高木仁三郎さんが代表を務めていた原子力資料情報室は、自分たちの活動だけでなく、他者の活動にも関心を抱き、つながり、支えていく、いわば市民活動のプラットフォームだったと思います。選考委員を引き受けるにあたっては、高木基金の研究助成で、あちこちで芽吹いた市民科学がしっかりと根付き、活動の重要性が社会的に認知され、市民科学のプラットフォームとして育っていくイメージを思い描きました。

― アジア枠、国内枠と、実際の選考のプロセスが一巡しましたが、ご感想はいかがですか。

 原子力の問題だけでなく、自然や環境を守り、公害を防ぎ、人間を弱者にしない活動が国内外で展開されていることを、頼もしく思いました。国内枠助成で行われている公開プレゼンテーションは、選考プロセスではありますが、それだけではない意味があると思いました。「他者に求めることは自分に求められていることでもある」という言葉がありますが、助成に応募した研究活動の意義や、研究の背景にある問題を伝え広げていくために、他者の研究活動に関心を持ち、エールを送るいい機会だと思いました。これから応募する方にも、これまでに助成を受けたOG/OBの方にも、ご参加いただきたい会ですね。

― 高木基金としては、「市民科学」を志す若い世代を応援することが重要な課題です。関さんは大学で学生・院生とも日常的に接しておられますが、若い方を応援していくことへのお考えを聞かせてください。

 私がまだ「若い世代」だった頃は、公害問題も自然保護の問題も、長く現場にかかわってきた方々の独壇場のような観がありました。ほんの少し気後れしましたし、かすかに疎外感を抱きました。しかし、いまは「若い世代」の方々にどうやって問題を継いでいくかが、どこの現場でも重要な課題になっています。高木基金は、新規応募の方々へのアドバイスなど、丁寧なサポートも心がけているようで、第三者的な目で見ると、至れり尽くせりでうらやましい限りです。若い方たちには、高木仁三郎さんの考えに共鳴したOG/OB の研究を事前リサーチのうえ、積極的に助成にチャレンジしていただきたいですね。そのプロセス自体がこれからの調査研究や活動の糧になると思います。
 高木基金の助成は、市民科学と市民科学者を育てる助成だと思います。いずれは、高木基金の助成を受けて巣立った市民科学者OG/OB が選考委員に加わって、高木基金を育てていくような将来像を描けるといいと思います。


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