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日の出町ゴミ焼却灰のエコセメント化工場の環境影響調査



グループ名 たまあじさいの会 研究成果発表会配布資料[pdf]
代表者氏名 濱田 光一 さん
URL http://tamaajisai.net/
助成金額 60万円

2010.8.8植物調査

雨水調査

原田正純先生

研究の概要

2009年12月の助成申込書から
 わが国のごみ処理は、高度経済成長期の大量生産・大量消費・大量廃棄の工業経済循環を支えるために、もっぱら廃棄物を目の前からなくすことだけ的が絞られてきました。いつの間にか「消費は美徳」という物質的豊かさの追求が、国民的合意になり、伝統的なごみの焼却・埋め立て処理の延長で、大型焼却炉と巨大処分場でごみの処理・処分が行われてきました。  大量生産がもたらした恐ろしい問題は、資源の浪費だけでなく、製品の素材の多くが地下資源に依存していることにあります。これら製品の多くは、市場回転率を高めるために短寿命に造られるために大量に廃棄されます。人類を含めた生物は地上の物質的環境の中で長い年数を費やして免疫能力を作り上げてきました。したがって、地上の生物の免疫能力は、これら地下からの物質に対しては、まったく無力です。製品が廃棄され、処理・処分される過程で、これらの有害化学物質が、環境に放出されます。  国は、一方で産業の発展を擁護するという観点から、これら有害物質を環境に排出することで生態系を破壊することを知りつつも、これら有害物質を薄めて環境に放出することを許してきました。いわゆる環境基準値を設定することで、基準値以下に薄めることで、これら有害物質を薄めて環境に放出することを許してきました。これらの物質を、自然豊かな水源地の水や大気中に広く薄く拡散させることは、人間を含む生態系の破壊に他なりません。それにもかかわらず多くの国民も、国民の生命・健康を守るはずの裁判官もあたかも基準値が、生体に対しての安全基準値と誤解するようになって来ました。そしてこの日本のごみ政策は、便利でコストの安い化学物質が現代の世代にだけ与える物質的豊かさを短期的観点から過大視するあまり、長期的観点に立って次々世代の人間も含めた生態系に及ぼす側面を見過ごすという大変な落とし穴に落ちていました。  日の出町にある巨大なゴミ最終処分場は、全国のゴミ最終処分場のモデルとなり、約4,000箇所を越える最終処分場が造られました。しかし、いまこの最終処分場の汚染が明らかになり、汚染のメカニズムが解明され広く全国に周知されました。周辺地域でのがん死者が多発したことも疫学調査で、明らかになりました。そこで、新たな処分場の建設が難しくなり、行き場を失ったゴミ焼却灰をセメント化する事業が、これまた日の出町でNED、新エネルギー開発機構の予算援助を受けながら開発され、稼動しています。この施設も、環境基準値をクリアーしながら、大気中に有害化学物質を放出しています。しかし、このような焼却中心のゴミ処理政策は、有限な資源の浪費、地球温暖化への加担、大気・土・水などの汚染、生物の健康と命への脅威となっています。さらに、近年わが国の乳幼児や若者の中で心身にハンディを持たざるを得ない割合が急増しているが、化学物質の濫用と共にごみ焼却処理政策が大きく加担していことを指摘できます。  私たちは、「1984年から埋め立て開始した日の出町ゴミ最終処分場、2006年より稼動開始したエコセメント工場の周辺環境への影響調査」活動を続けています。  市民の視点で汚染の実態の調査と記録、公害発生の抑制、公害発生への地域住民への警鐘、日本各地のゴミ処分問題地との情報交換、次世代への伝達と継承などに取り組んでいきたい。また、市民の視点から「市民科学」の実践の場としての拠点作り、組織作りに取り組んでいきたい。未来世代への負荷と負担を可能な限り少なくしていくことに現世代としての責任と自覚を持って活動に取り組んでいきたい。そして便利ではあるが、われわれの世代が生み出した生態系に未曾有な脅威をもたらす有害化学物質を、社会的に安全に管理できる社会システムを創り上げることを目標に、活動していきたい。 【 この助成先は、2008年度にも同様のテーマで助成を受けています → 2008年度の助成事例 】 【 この助成先は、2009年度にも同様のテーマで助成を受けています → 2009年度の助成事例 】

中間報告

2010年10月の中間報告から
 日の出町には、2006年本格稼動したゴミ焼却灰を主原料とするセメント化(エコセメント)工場、1984年からの14年間で埋め立てられた谷戸沢処分場、1998年より埋め立て開始した二ツ塚処分場と巨大なゴミ処理・処分施設があります。  これらの周辺環境への影響は、谷戸沢処分場が埋め立て開始して数年後からガンの発症の多発、男子出生率の低下、周辺植物の異変などの様相が現れ始めてきていました。それに加え、数年前より膠原病などの発症の多発、梅のウイルス病の発生などの様相が現れ始めいます。  しかし、昨年頃より事業者である循環組合は「自然は回復している」としてこれらの施設の安全をマスコミ、研究者、自治体を動員してのPR活動を活発化しています。  私たちは、エコセメント工場の本格稼動数年前から工場周辺の植物、水生昆虫、野鳥、大気、土壌、水質などの定期的・継続的な実態調査や分析調査に取り組んできました。そして、今まで取り組んでき植物・水生昆虫・野鳥などの実態調査についてはしばらく休止して、これまでのデータを整理してこの間の変化を考察する作業を行うこととしました。また、土壌・大気・水質などの分析調査については専門機関に依頼して継続調査を行うことにしました。  調査活動の見直しは、日の出町のゴミ処理・処分施設が周辺環境への直接的な因果関係を客観的に結びつけることはかなり難しい条件があり、これまでのデータを先入観をできる限り取り去り考察していく時期であります。また、人々への影響としての疫学的調査の必要性を強く感じているが、その方法や経費、専門家の協力などをどのようにしていくか今後検討して実現していきたい。調査活動の内容と体制を再検討していきたい。

結果・成果


 建築諸材料に多様な化学物質が導入されたため重症被害も多発したシックハウス内部のVOC(揮発性有機化合物)については一応の規制が出来ましたが、それ以上にVOC発生が盛んで健康影響が大きいと思われた介護施設内の暖房の影響、建築現場や建築廃材処理および道路工事の周辺大気汚染を調査しました。簡易クロマトグラフによる連続測定の結果、健康有害VOCが、シックハウスで規制されている物質とは違うことが示唆され、被害者の体験と国内の新規認可特許および外国公的機関の文献調査を勘案すると、イソシアネートなどの窒素系合成樹脂の関与が強く懸念されるに至りました。新築および道路工事現場では、工程によって時間ごとの汚染物質が変化しましたが、夜間には再び作業中と同じ種類のVOCが高濃度に降下し、近隣住宅の複数住民には健康影響または不快感がありました(土浦市)。  健康影響が広がった建築廃材処理場からの大気汚染では、揮発性が顕著なVOCが多いと同時に、揮発しにくいVOCもプラスチック摩擦で発生するタイプと一致しているので、焼却炉排気からの燃え難いVOC以外に破砕処理によるVOCが発生していると推定されました。排出空気は上空に拡散せずに濃度を保ったまま下降して地表を這うこと、1km以上までも伝播することも観測され、気象研究者の予測とも一致しました(野田市)。  2つの介護施設を比較し、暖房による発生有害VOCも、建築現場や廃材処理と類似してシックハウス規制物質以外であることを確認しました。新しい農薬で生物の急変も感じられたので諸団体の協力を得てアンケート調査し、特に農地近くで市街地以上に昆虫が壊滅的に急減したことを確認しました。調査法の検討と調査した事実を深く理解し広く伝達できることを願ってセミナーを開催し、またホームページを作成しました。

その他/備考


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