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米国南西部におけるウラン鉱山をめぐる環境正義運動【研修先:アメリカ サウスウエスト研究情報センター】



グループ名 研究成果発表会配布資料[pdf]
代表者氏名 玉山 ともよ さん
URL
助成金額 56万円

MASE 会議 2010 夏

SantaFeWalk2010

SNEEJ 気候サミット 2010

TOTBcamp2010

ロスアラモス walk2010

研究の概要

2009年12月の助成申込書から
 米国南西部、特にニューメキシコ州を中心とするウラン鉱山の放射能汚染、被曝、再開発問題をめぐり、2008年に結成されたMASE (Multicultural Alliance for Safe Environment)という、先住民族グループを含む5つの市民グループが母体となり発展した、宗教・文化・人種(民族)の枠を超えた連携による環境正義運動について、文化人類学的なフィールドワークを行い研究する。  環境正義運動とは、先住民族などマイノリティーの多く居住する地域に、放射能汚染などの環境被害がより集積することを問題視し、誰もが健康で安全な環境を享受する権利があると公正平等を求めて市民が立ち上がり起こった運動である。現在では、連邦環境保護局内にも、クリントン政権時代に発足した環境正義部署があり、官民をあげて取り組むべき課題だとされている。しかし実際には、行政側と市民の双方向のコミュニケーションはあまり取られてはおらず、MASEは「下」からの声を、「上」の機関による政策意思決定へ反映させるため、環境正義の官民コラボレーションをSNEEJ (Southwest Network for Environmental and Economic Justice)等他のNGOの助けも借りながら実現を目指している。  MASEは、グランツミネラルベルトと呼ばれるウラン鉱山が豊富な地域において、1940年代後半より80年代前半まで盛んに採掘が行われたウラン鉱山群が、閉山された後もその環境修復がなされないまま放置され、又現在に至るまで一度も近隣住民の健康調査が行われないまま、近年になり再び開発が行われようとしていることを憂慮している。  MASEの事務局を置くSRIC(Southwest Research and Information Center)という環境NGOを主要研修先とし、約2ヶ月間のアルバカーキ滞在を予定している。

中間報告

2010年9月の中間報告から
 MASEメイスという、米国南西部の多文化の人々による、ウラン鉱山産業開発に伴う放射能汚染と被曝の問題に取り組むグループの活動に参加し、研修を行った。メイスは、ニューメキシコ州アリゾナ州における「グランツミネラルベルト」と呼ばれる、天然ウラン資源が豊富な地域において、1940年代以降から採掘されてきたウラン鉱山の健康被害と環境汚染に取り組むグループである。この団体の歴史はまだ新しく、2年前より活動を開始し始めた。  元々、ラグナ・プエブロとアコマ・プエブロ先住民族のウラン鉱山被害に取り組むグループ(LACSE)、ナヴァホ先住民保留地東部のウラン鉱山被害に取り組むグループ(ENDAUM)、ホームステークという元精錬所後の放射能汚染被害問題に取り組むグループ(BVDA)、ナヴァホ先住民族のウラン鉱山被害に取り組むグループ(DB)、1971年以降のウラン鉱山労働者に対する被曝補償がない問題に取り組むグループ(post71)の5つの基盤グループが別々に活動していた。が、サウスウエスト研究情報センター(SRIC)の呼びかけにより、他の13のグループと共に、共同で様々な問題(主にウラン鉱山関係ならびに核問題全般)に、市民の立場から取り組むようになった。現在、原子力発電所増設に地球温暖化が利用され、ナヴァホ保留地内のチャーチロックとクラウンポイント地区に、そしてテーラー山という州の文化遺産に登録された周辺に、ウラン鉱山再開発が提起されている。メイスの主張は、過去の環境修復と健康被害に対する補償問題が全く解決していないのにもかかわらず、再開発が行われようとしているのは許しがたいという立場で、私はこのグループの会議に数度出席し様々な情報を得ながら、それぞれのメンバーにインタビューを行うなどのフィールドワークを行った。

結果・成果


 米国南西部、特にニューメキシコ州を中心とするウラン鉱山の放射能による環境汚染、被曝、再開発問題をめぐり、2008年に結成されたMASE(Multi- cultural Alliance for Safe Environment)という、先住民族グループを含む5つの市民グループが母体となって発展した、宗教・文化・人種(民族)の枠を超えた連携による環境正義運動について、一メンバーとして参加しながら参与観察を行いました。  近隣先住民族が聖地と考え、州の文化財にも指定されたテーラー山でのウラン鉱山再開発問題に、住友商事が出資しており、(独)石油・天然ガス・金属資源機構(JOGMEC)が探鉱開発支援をしていることで、日本国民の税金が開発の一助となっていることがわかり、その問題を今後とも調査研究していきたいと考えています。  福島第一原発での原発震災後、MASEの方から市民同士で日本とも連携し運動を展開していきたいということで、スリーマイル原発事故と同じ年の1979年7月16日、ナヴァホネーション内のチャーチロックで起こったウラン鉱さいダム決壊事故のメモリアルイベントに出席し、アメリカでは原発震災が異様に小さく報道されているとのことを感じました。日本の状況を伝え、今後とも連帯を深めて行きたいと考えています。また3.11以後、今なお止まらないウラン鉱山再開発の流れを、減速できるような行動を国際連帯してとっていくことに努めていきます。

その他/備考


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