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福島原発事故に伴う子どもの生活環境の放射能汚染実態調査と被ばく最小限化



グループ名 福島老朽原発を考える会(フクロウの会) 研究成果発表会配布資料[pdf]
2014年度会計報告[pdf]
代表者氏名 青木 一政 さん
URL http://fukurou.txt-nifty.com/fukurou/
助成金額 70万円

伊達市私立幼稚園の保護者会にて尿検査オリエンテーションを実施。参加した保護者の子どもを中心に約30 名の尿検査の申し込みを受け付けた。

尿検査結果。居住地域での違いが出ている。

リネン吸着法。屋外に設置してリネン布に吸着したセシウム量を測定。

研究の概要

2013年12月の助成申込書から
 福島原発は事故発生後2年半たった現在においても、汚染地下水の海洋流出が止められず、タンクからの汚染水漏れの頻発など、極めて深刻な状況にある。
 一方、「除染」の限界が明らかになる中で、政府は最近「除染から帰還へ」と方向転換を行い、個人線量計の配布による被ばくの自己管理を言いだしている。既に伊達市などにおいては特定避難勧奨地点が解除され、住民は帰還するか、自己負担での避難継続をするかをせまられる状況になっている。
 子どもを持つ親にとっては、子どもの生活環境の汚染状況や子どもの被ばくに対する不安は重大であり、その実態を把握することや被ばくを最小化するための方策を明らかにすることは大きな関心である。
 このような状況を踏まえて、本調査研究は下記の二点を目的として行う。
  市民自身が 「子どもの被ばく最小化」の観点から、子どもの生活環境の汚染実態を測定、分析する。
  子どもたちの被ばく量を最小化するための課題を明確化する。
 またこの調査研究は、「子ども被災者支援法」の実施内容の拡充、自主避難者支援、避難の推進、保養や健康管理の充実など、子どもの被ばく影響の最小化のための市民の実践活動と一体の活動として行う。実践活動からの要求に応える形で調査研究活動の具体的課題を修正しながら進める。

中間報告

2014年10月の中間報告から
 福島原発事故による放射能汚染の拡大は深刻であるにもかかわらず、政府・自治体の対応は極めて不十分です。次世代を担う子どもたちの被ばくリスクを最小化するため、生活環境の汚染実態を把握することや、被ばくを最小化するための方策を明らかにして推進することは重要な課題です。
 このような状況を踏まえて本活動は今年度、下記の2点を重点課題として進めています。
子どもたちの尿検査による内部被ばく実態の調査と被ばく低減化のための活動推進。
大気中のホコリの放射能汚染実態の調査と内部被ばく低減化のための活動推進。
 尿検査については福島県伊達市の私立幼稚園の協力を得て、被ばくリスクについて「気にはなるが何もしていない」という保護者たちの子どもを含めて、尿検査を実施しました。その結果、約6割の子どもたちの尿からセシウムが検出されました。この結果を保護者会でフィードバックして、内部被ばく防止の重要性を訴えました。
 大気中のホコリの放射能調査については、リネン(麻)布を一定期間屋外に設置して吸着したセシウム量を定量化することで実態把握ができる見通しを得ました。「ちくりん舎」、「風下の会」などと協同で「リネン吸着プロジェクト」を立ち上げ、当面、福島県内の30 カ所程度での測定を目標として進めています。
 一般的には、大気中塵埃の放射能汚染調査はエアダストサンプラーにより行われています。数カ所に置いてリネン布吸着法とエアダストサンプラー法による測定を行い、両者の相関をとることも進めています。

結果・成果

完了報告・研究成果発表会資料より
●尿検査による内部被ばく低減を目指して
 私たちは2011年5月以来、内部被ばくを精密に測る方法として高精度な放射能分析ができるゲルマニウム半導体測定器を用いて尿中のセシウムの量を測り、子どもたちが食品や呼吸からセシウムを取り込んでいないかをチェックしてきました。既に約350人、延べ約400回の検査を行っています。
 今年度は、伊達市の私立幼稚園の子どもたちの尿検査を行い、60% 以上の子どもたちから0.1 〜0.7Bq/L の尿中セシウムが検出されました。ここ2年間くらいの私たちの尿検査の実績と比較するとやはり検出される子どもの割合も高く、また検出されたセシウム量も高い傾向であることが分かりました。
● 空気中のホコリの放射能を捕えられないか──市民による新たな手法の開発
 尿検査を進める中で、食品からだけでなく、空気中の粉塵の放射能を呼吸で体内に取り込んでいるのではないか、という懸念が高まってきました。空気中粉塵の放射能測定は、食品中の放射能測定よりもはるかに困難です。これに対して、一市民のアイデアで画期的な方法が生み出されました。麻(リネン)布を屋外に2週間程度設置して、そのリネン布に吸着したセシウムを測定するというものです。私たちはこれを「リネン吸着法」と名付けました。
 既に30カ所程度のデータが集まりました。道路や鉄道線路わき等では高い値を示すなど、リネン吸着法が、敏感に大気中放射能の濃度を検出することが分かってきました。
●ガラスバッジによる個人被ばく量評価の不当性を立証
 福島県の自治体ではガラスバッジという個人線量計を配布して、個人の被ばく量を計測するという事業を行っています。環境省と福島県の4市はその結果から、住民の被ばく量は、空間線量率から予測されるものよりはるかに低いという報告を出しています。
 伊達市ではこの結果から、国の除染基準を上回る0.6μSv/h程度であっても除染は不要としています。私たちは文献調査等で、ガラスバッジが福島のような全方向照射では自身の身体による遮蔽で3〜4割低くなること、また伊達市の調査が個人による被ばく量のバラつきを平均化して見えなくしていることを指摘しました。これらの結果は環境省や経産省との要請・交渉の場でも指摘し、「ガラスバッジによる測定結果を除染の基準とはしない」という言質を引き出すことができました。また、2015年1月15日、伊達市議会放射能対策研修会で全議員対象に1 時間のレクチャーをする機会を得ました。この場で、ガラスバッジによる線量評価の問題点についてメーカーである(株)千代田テクノルからも確認の言質をとることができました。

その他/備考


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