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福島原発事故による茨城県の放射能長期汚染とその特徴(2)



グループ名 いばらき環境放射線モニタリングプロジェクト
代表者氏名 天野 光 さん
URL https://www.facebook.com/IBARAKIERMP/
助成金額 40万円

スマホ連動型POLIMASTER PM1703M-1BTによるホットスポット探索の実測例。測定場所は、ひたちなか市神敷台けやき並木(左)と同市那珂湊湊公園(右)。色分け線量区分:赤0.5?Sv/h以上、橙0.23?0.5?Sv/h、緑0.23?Sv/h以下

2019年5月18日、牛久運動公園での測定の様子

研究の概要

2018年12月の助成申込書から
東京電力福島第一原発(1F)事故により、福島県を始め、東北地方や関東全域は広範囲に放射能汚染された。こうした中で福島県での放射能測定はかなり集中的に行われているが、茨城県での測定は、散発的であり、汚染があるにも拘わらず、茨城県での放射能汚染の特徴は必ずしも明らかではない。一般人に対する追加被ばく線量限度である1mSvを超える場所も存在している。本研究は、茨城県における空間線量の測定を主体とし、茨城県におけるホットスポットや汚染の特徴を明らかにし、放射能汚染の将来予測を行う。1F事故が経過してから2019年3月で丸8年となり、空間線量に及ぼすセシウム-134(半減期2年)の影響はほぼなくなっている。空間線量に影響する放射性核種は、天然放射性核種以外ではセシウム-137(半減期30年)が主となってきており、空間線量の将来予測も可能である。また土壌や植物中の放射性セシウムの他に重要核種であるストロンチウム-90の測定も行い、Sr-90/Cs-137比や植物への移行係数を明らかにし、福島事故による汚染の特徴を明らかにする。空間線量値は測定器の特性によっても異なるので、我々の測定では校正されたシンチレーション測定器(日本精密測器製RADCOUNTER DC-100、堀場製作所製Radi PA-1000及びベラルーシPOLIMASTER社製PM1703MO-1BT)を主に用い、国の基準で校正された測定器アロカ製172B等とのクロスチェックも随時行う。また測定のフォーマットは統一して行う。測定で解明される茨城県内のホットスポットを繋ぎ合せると放射性プルームの流れが見て取れる。SPEEDIなどの予測モデルで放射性プルームの初期の流れが推測されているが、大気の流れは複雑であり、必ずしも推測値が実際の流れと合致している訳ではない。こうした実測による解析により茨城県民の初期被ばく、それに続く現存被ばく、将来被ばくを明らかにしてゆく。こうした調査を東海第2原発再稼働阻止に結びつける。 【 この助成先は、2018年度にも同様のテーマで助成を受けています → 2018年度の助成事例 】 【 この助成先は、2020年度にも同様のテーマで助成を受けています → 2020年度の助成事例 】

中間報告

2018年10月の中間報告から
 東京電力福島第一原発事故により、福島県を始め、東北地方や関東全域は広範囲に放射能汚染されました。こうした中で、福島県での放射能測定はかなり集中的に行われていますが、茨城県での測定は散発的であり、汚染があるにもかかわらず、その実態と特徴は明らかではありません。  本調査研究は、前年度からの継続ですが、住民による茨城県での空間線量の測定を主体とし、茨城県におけるホットスポットや、これまであまり測定が行われていない放射性ストロンチウム汚染の特徴を明らかにしています。  福島第一原発事故が発生してから2019年3月で丸8年となり、空間線量に及ぼすCs-134(半減期2年)の影響はほぼなくなってきています。空間線量に影響する放射性核種は、天然放射性核種以外ではCs-137(半減期30年)が主となってきており、今回の測定により、測定場所での空間線量の将来予測も可能です。また植物や土壌(0?5cm、5?10cm 深さ)中の放射能の測定も行い、土壌や植物中のSr-90/Cs-137比や土壌から植物への移行係数を分析しています。  今年度は、昨年度に調査が不十分であった地域を中心に、線量率マッピングや高さ分布の測定を行い、また初期の放射性プルームの痕跡や現存する高線量地域も探索しマッピングを行っています。  各地域の担当スタッフが測定を続けているほか、5月には県南地区(牛久市及び阿見町)、9月には鹿行地区(神栖市及び潮来市)にて、本プロジェクトのスタッフで共同測定を行いました。6月には県央エリア(ひたちなか市・水戸市など)の放射線量率の測定してきた「こつこつ測り隊」のメンバーと国営ひたち海浜公園で共同測定を行いました。また、9月には東海村及び大洗町においてCs-137及びSr-90測定用の環境試料採取を行いました。

結果・成果

完了報告から
 東京電力福島第一原発事故により、福島県を始め東北地方や関東全域は広範囲に放射能汚染されました。こうした中で福島県での放射能測定はかなり集中的に行われていますが、茨城県での測定は散発的であり、汚染があるにもかかわらず、現在の汚染の実態と特徴は必ずしも明らかではありません。本調査は、住民による茨城県での空間線量の測定を主体とし、茨城県におけるホットスポットや、これまであまり測定が行われていない放射性ストロンチウムによる汚染の特徴を明らかにします。  福島第一原発事故が経過してから2019年3月で丸8年となり、空間線量に及ぼすセシウム-134(半減期2年)の影響は、ほぼなくなってきています。空間線量に影響する放射性核種は、天然放射性核種以外ではセシウム-137(半減期30年)が主となってきており、これまでの測定により、測定場所での空間線量の将来予測も可能です。また植物や土壌(0-5cm、5-10cm深さ)中の放射能の測定も行い、土壌や植物中ストロンチウム-90/セシウム-137比や土壌から植物への移行係数を明らかにし、茨城県における福島第一原発事故による汚染の特徴を明らかにしています。  線量率の高さ分布に関しては、我々の測定では、主に国の基準で校正された高精度シンチレーション測定器(日立アロカ製TCS-172B)を用いて、簡易測定器も併用して行いました。ホットスポットの探索に関しては、1m高さでの歩行サーベイとし、スマホの位置情報と連動した空間線量率計を用いて、グーグルマップ上に線量率毎に色分け(0.23μSv/h以下、0.23- 0.5μSv/h、0.5μSv/h以上)し、マッピングしています。2019年度は、国営ひたち海浜公園や日立市の風神山などで除染基準以上の場所が見つかっています。  環境放射能汚染指標植物として松葉を採取し、採取地の土壌とともに放射能測定を行いました。1年葉の松葉へのセシウム-137の見かけの移行係数は0.1-0.2と高く、空間線量率の高さ分布は、松林内では地表面より1m高さの方が高い場合があり、松葉へのセシウム-137の見かけの移行係数の高さと整合的です。測定を行った松葉(1年葉)中のストロンチウム-90/セシウム-137比は、0.01-0.06でした。これらの数値は、土壌中のストロンチウム-90及びセシウム-137濃度に依存しています。土壌中深さ分布については、松の根元の砂質土の未耕作地では 5-10cm深さに約12%が存在しており、下方浸透していることがわかりました。  今後は、茨城県内でこれまで未測定及び高線量であった場所における測定を継続して行うとともに、茨城周辺地域での測定も行い、市民に分かりやすいマッピング図を作成し、放射線の影響に関する最新情報とともにパンフレットを作成し、市民に提供する予定です。

その他/備考


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