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太平洋核実験による放射線被災実態を解明し、被災船員救済のための研究をすすめる



グループ名 太平洋核被災支援センター
代表者氏名 橋元 陽一 さん
URL http://bikini-kakuhisai.jet55.com/
助成金額 50万円

ビキニ労災訴訟を支援する会結成(2020年3月30日)

研究の概要

2018年12月の助成申込書から
 「ビキニ水爆実験による第五福竜丸以外のマグロ船と貨物船などの被災の実態と乗組員の健康状態追跡調査」にこれまで取り組んできた。核兵器禁止条約批准を視野に入れたビキニ事件の歴史的検証が重要になっている。  ビキニ水爆実験による被災船員は高齢化とともに健康を害し、癌の発生率が高まり、「死の灰」を受けた被災船の船員の3分の2以上がすでに死亡している。広島大学などの研究者の協力をえて、被災漁船員と同世代の男性の病歴、死亡原因調査を実施したい。   そして、議員立法の「核実験被災船員救済特別処置法」の制定と、核兵器禁止条約発効後の救済のための資料を作成したい。 【 この助成先は、2020年度にも同様のテーマで助成を受けています → 2020年度の助成事例 】

中間報告

2019年10月の中間報告から
 ビキニ水爆実験による第五福竜丸以外のマグロ船と貨物船などの被災の実態と、乗組員の健康状態追跡調査にこれまで取り組んできました。現在、核兵器禁止条約批准を視野に入れ、ビキニ事件の歴史的検証がますます重要になっています。ビキニ水爆実験による被災船員は高齢化とともに健康を害し、癌の発生率が高まり、「死の灰」を受けた被災船の船員の3分の2以上がすでに死亡しています。広島大学などの研究者の協力をえて、被災漁船員と同世代の男性の病歴、死亡原因調査を実施したいと考えています。  こうした目標から、研究協力者・弁護士・社会保健士などの専門家とともに、県内の調査研究者のメンバーも広げた調査研究チームを結成し、放射線被災の実態解明と被災船員救済に向けて取り組みを再開しました。  高知県に対しては、県内全域の被災船員の調査及び救済に向けた健康相談の開催を要請しました。また、特に室戸市など県東部での聞き取り調査については県や室戸市に協力を要請しました。その結果、県が健康相談会とシンポジウム開催を決定しました。今後さらに調査やシンポジウムの内容の充実に向けて積極的に提案していきたいと思います。  一方、厚労省社会保険審査会の労災申請の再審査結果やビキニ核被災国家賠償請求訴訟第二審判決の動向を見ながら、仮称「核実験被災船員救済特別措置法」の立法化をめざして、高知県はじめ、関係者への呼びかけを広げていきます。また弁護士を通じて、国連人権委員会への意見書提出等も検討していきます。

結果・成果

完了報告から
 ビキニ核被災国賠訴訟では、1審、2審で、操業中の被ばくに関する国の責任を求めましたが、裁判所は20年の除斥期間を過ぎていることなどを根拠に、原告の訴えを認めませんでした。しかし、一方で、司法の立場からも第五福竜丸以外のマグロ船の漁船員の被ばくを認めた上で、救済の道を示唆した歴史的な判決でした。  67年前のマーシャル諸島ビキニ環礁でのアメリカの水爆実験で、第五福竜丸の23名の漁船員の他に、延べ1,000隻に及ぶマグロ漁船員が被ばくした事実が、司法の場で明らかになりました。当時のマグロ船員が、若くしてがんや脳梗塞、心筋梗塞などで亡くなりました。1985年から35年に及ぶ幡多高校生ゼミナールを中心にした調査活動などで、当時の元マグロ船員の体験を聞き取りした記録、研究者グループの科学的知見と公文書の分析資料などを証拠として提出し、司法の場で被ばくの事実が認められたのです。  一方、労災申請については、被災の事実と発症した傷病との関係を確認できないとして、認められませんでした。当時のマグロ漁業の操業中の被ばくは海水の放射能汚染やフォールアウトによる内部被ばくです。引き続き、操業中の被ばくを立証する疫学的調査が求められています。これはヒロシマ・ナガサキの黒い雨、フクシマ原発事故による被ばくと共通する内部被ばくを立証するための科学的知見を累積していく取り組みにつながると確信しています。  元マグロ船員の高齢化により、聞き取りができる条件も年々厳しくなってきていますが、さらに聞き取り調査活動を継続していくとともに、調査結果の医科学的分析が必要です。同時にビキニ事件の真相を語り続けていくために、紙芝居、核兵器禁止条約と併せた教材DVDの外国語翻訳版の普及も進めていきます。  これらの取組みを国連での核兵器禁止条約の発効を目前にする中、第6条の核実験被災者救済の道を具体的に切り拓く取り組みとして位置づけています。

その他/備考


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