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中皮腫患者に対するピアサポート活動と石綿ばく露調査



グループ名 中皮腫サポートキャラバン隊
代表者氏名 鈴木 江郎 さん
URL https://asbesto.jp/
助成金額 100万円

4 月以降、中皮腫患者同士の交流会をオンラインで定例開催するよう になったことが、7 月1 日付の毎日新聞に取り上げられた。

朝日新聞 「ひと」欄 右田さん 2021.2.24

毎日新聞 中皮腫サロンで助け合う 2020.7.22

研究の概要

2019年12月の助成申込書から
 アスベストが原因で発症する中皮腫の患者はいまピークを迎えており(年間死亡者1,500人超え)、今後も十数年はこの傾向が続くと推測されている。また30歳代〜50歳代の現役世代からの中皮腫の相談が増えている。一方で中皮腫は希少ガンとして治療の開発が遅れ、治療の選択が限られている現状にある。また中皮腫患者は同じ病気の患者と会う機会もなく、精神的にも孤立した状況に置かれている。そんな中、中皮腫の患者どうしがお互いに支え合うピアサポート活動の必要性が高まっている。  また安易に石綿ばく露不明とされる中皮腫患者が増えてきており、ばく露不明とされた中皮腫患者の石綿ばく露について改めて聴き取りし、石綿ばく露の機会を追求していく。  調査手法としては、中皮腫サポートキャラバン隊のメンバーが、中皮腫患者に会いに行き、現在の医療面、主に経済的な生活面、精神的なケアの面で患者の要望や石綿ばく露原因をアンケートやインタビューで明らかにしていく。  一ヶ月で8人程度への調査を予定しており、1年で100人の中皮腫患者から調査し、調査結果を集計分析し、医療機関や行政機関や社会一般に問題提起していく。 【 この助成先は、2019年度にも同様のテーマで助成を受けています → 2019年度の助成事例 】

中間報告

中間報告から
 アスベストが原因で発症する中皮腫の患者はいまピークを迎えており(年間死亡者1,500人超え)、今後も十数年はこの傾向が続くと推測されています。また30歳代〜50歳代の現役世代からの中皮腫の相談が増えています。一方で中皮腫は希少ガンとして治療法の開発が遅れ、治療の選択肢が限られている現状があります。また中皮腫患者は同じ病気の患者と会う機会もなく、精神的にも孤立した状況に置かれています。そんな中、中皮腫の患者どうしがお互いに支え合うピアサポート活動の必要性が高まっています。  また安易に石綿ばく露不明とされる中皮腫患者が増えてきており、ばく露不明とされた中皮腫患者の石綿ばく露について改めて聴き取りし、石綿ばく露の実態解明を目指していきます。  調査手法としては、中皮腫サポートキャラバン隊のメンバーが、中皮腫患者に会いに行き、現在の医療面、主に経済的な生活面、精神的なケアの面での患者の要望や石綿ばく露原因をアンケートやインタビューで明らかにしていく予定でしたが、新型コロナウイルス感染症の流行により、患者との面談を控え、面談によるアンケート聴取の代わりに、郵送によるアンケート調査を実施しました。アンケート用紙を患者に送付し、患者(または家族)がアンケートに記入し、返信してもらう方法です。  今年のアンケート調査では、特に、中皮腫患者の病気発症後の就労状況の変化、収入と支出の状況、経済的な困窮の度合いについて重きを置いた調査としました。これは現在の石綿健康被害救済制度(https://www.erca.go.jp/asbestos/)の給付水準が適正であるか否かを判断するためです。  またアスベストばく露が不明の方に対しても、住居や職場や出入りしていた建物にアスベストの吹付けがなかったか、ベビーパウダーなど生活用品でアスベストばく露がなかった等、あまり意識されないアスベストばく露の機会についての調査を行っています。  12月までの回答数は55回答で、引き続き、アンケート調査の呼びかけを行っていきます。

結果・成果

2021年5月の完了報告から
中皮腫の原因はそのほとんどが石綿(アスベスト)ばく露と言われるが、我が国では石綿を大量に輸入・使用したことで多くの労働者や住民が石綿ばく露した。潜伏期間を踏まえると、2000年代?2030年代は中皮腫患者が多く発症する可能性が考えられる。しかし一方で中皮腫は希少がんとして治療法の選択が限られている。また中皮腫患者は同じ患者と会う機会も少なく、精神的に孤立しやすい状況であり、患者同士が互いに励まし、支え合う“ピアサポート活動”の重要性・必要性は高まっている。  本調査では、以下の通り17項目46個の質問を設けた。 (1)回答者の性別、年代、居住地、中皮腫の種類 (2)治療内容、手術の術後のQOL、治療の副作用と合併症、治験の有無 (3)発症後の就労と収入の変化 (4)現在の気持ち (5)職歴、石綿ばく露の自覚の有無  本調査では以下について特徴的な傾向が確認された。 1.経済状況の変化と生活の困窮では、働く世代への経済的支援が必要。 2.主治医からの治験情報が提供不足である。 3.建物からの石綿ばく露とベビーパウダーからの石綿ばく露の注意喚起  本調査結果はWEBサイト(https://asbesto.jp/)で発表し、患者同士のピアサポートや今後の療養生活に役立ててもらう。学会発表を行ったり中皮腫ガイドライン作成時に反映させる。また行政機関へ制度の改善を要求していく。

その他/備考


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