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高レベル放射性廃棄物地層処分の批判的検討



グループ名 地層処分問題研究グループ(高木学校+原子力資料情報室) 調査研究の概況[pdf349kb]
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代表者氏名 志津里 公子 さん
URL http://cnic.jp
助成金額 120万円

研究の概要

2002年12月の助成申込書から
 原子力発電によって生じる高レベル放射性廃棄物の地層処分を批判的に検討し、この問題について国民的な議論を起こし、原子力政策の変更を迫ることを目的とします。  日常的な活動として、関係する最新の技術報告書等や、政府委員会の技術開発および安全規制などの検討・批判を続け、政府委員会やシンポジウムから技術と政策の動向を把握していきます。  今年予定されている処分予定地の公募開始に際しては、間をおかずワークショップや討論会を開いて、地層処分以外の方策も含めて徹底的に討論するとともに、推進側からも本音の議論を引き出し、この問題を市民社会全体で考えることを提起します。  さらに、この問題をわかりやすく解説するブックレットを刊行するほか、ホームページを立ち上げて広く発信していきます。 【 この助成先は、2002年度にも同様のテーマで助成を受けています → 2002年度の助成事例 】 【 この助成先は、2004年度にも同様のテーマで助成を受けています → 2004年度の助成事例 】

中間報告

中間報告から

結果・成果

完了報告から
 日本では、原子力発電で生じる高レベル放射性廃棄物は地下に埋設する「地層処分」によって廃棄するという政策が進められており、実施主体である原子力発電環境整備機構(原環機構)が国内初の処分地を公募中です。国は地層処分について、核燃料サイクル開発機構(核燃機構)が原子力委員会に提出した技術報告書「わが国における地層処分の技術的信頼性――地層処分研究開発第2次取りまとめ」(1999年)が地層処分の「技術的信頼性」を示していると評価し、「事業化の拠り所」になるものと位置づけています。当グループは、この「第2次取りまとめ」報告書を検討して2000年7月に「『高レベル放射性廃棄物地層処分の技術的信頼性』批判」(「批判レポート」)を刊行し、現時点で地層処分に絶対的な信頼を寄せることはできず、地層処分によって原子力発電の高レベル放射性廃棄物問題が解決したかのように原子力政策を進めることは誤っていると主張してきました。  昨年度は、「批判レポート」の続編としての新たな技術検討報告書の作成のため、核燃機構、原研、原環機構の技術報告会等に参加して処分技術の現状を把握するとともに推進側の研究者・技術者と広く討論をし、また地層処分に関連する学術論文および核燃機構の技術報告書等の検討をグループの定期的な研究会で重ねました。報告書は作成中であるが結論としては、かねてから当グループが主張してきたとおり、地層処分を行うにあたっては科学的に未解明な問題や不確定の大きい要素がまだ多く残されており、現状では安全を確信することはできません。長期的な保管管理にも問題はあるので、地層処分だけを「否定」して反対するものではありませんが、保管管理など地層処分以外の選択肢も含めて、それぞれの長所と短所を比較したうえで高レベル放射性廃棄物に対する方策の選択を白紙からやり直すことを求めるものです。ここで言う「選択」とは、単に比較して決めることが最終目標なのではなく、選択した方策には選択されなかった方策にくらべてどのような短所がありえるかを社会的によく認識を共有したうえで慎重に管理または処分に携わっていくことを意味するものです。  上に述べたように、当グループは「地層処分が是か非か」を決めることを最終的な到達点と考えているのではありません。高レベル放射性廃棄物の処分または管理をどうするかは、プルトニウム利用すなわち再処理・核燃料サイクルをどうするのか、原子力をどれだけの規模でどれだけの期間続けていくのかに密接にかかわってくる問題であるから、高レベル放射性廃棄物の処分または管理の問題も含めて、原子力利用をどうしていくのかの議論をすることが必要であると考えています。  そのような観点から、昨年度はワークショップ「本音で語る原子力政策」を「Part I どうする再処理」と「Part II 地層処分を考える」の2回開催しました。これは推進と反対のあいだに大きな溝がかたちづくられてしまった原子力の問題をどう解きほぐせるか、そしてその溝の深さゆえに強い推進・反対のどちらにも距離感を感じている多くの人たちにどう問題を共有してもらえる可能性があるのかといった問題意識のもとに、企画段階から原子力若手技術者勉強会の協力を得て開いたものです。再処理をテーマにした第1回は原子力関係の研究者2名と脱原発関係者2名によるパネル討論を行い、地層処分をテーマにした第2回はパネリストに行政、実施主体、社会科学研究者も含めました。参加者は第1回が約150名、第2回が約110名でした。記録は現在取りまとめ中ですが、このワークショップの特徴は、推進と反対で意見に対立があるのは予め明白にわかりきったことなので、討論を対立的な意見のぶつけ合いに終始するのではなく、意見に対立があるなかでどこまでならお互いの主張に共通点や理解を見出せるか探り合うことを意識したことにあります。この点に物足りなさを感じた向きからは必ずしも肯定的な評価は得ていませんが、そうした趣旨に理解のある人たちからは少なくとも一定の評価は得ており、非常によい評価も多く寄せられました。このワークショップが直接に政策を動かすことにはつながらないとしても、推進側と反対・批判側とが公開の場で、立場によっては肩書上の限界はどうしてもあるとはいえ、それなりに本音を出し合い、落ち着いた意見交換が可能であることを示したことは、今後、様々なグループが様々な問題で同様の趣旨の企画を立案・実行していく上での参考として意義は大きいと考えています。また当日の結果だけでなく、このような趣旨の会を成り立たせる準備段階での意見交換も、推進と反対・批判側の双方にとって有意義なものでした。

その他/備考

対外的な発表実績、今後の展望
ワークショップの紹介記事  ・読売新聞(2003年12月17日)サイエンス面   「高レベル放射性廃棄物ワークショップ」  ・中日新聞(2004年1月26日)「核心」欄   「核のごみで呉越同舟」  地層処分の技術的な問題の批判的検討については今後も長期にわたって継続予定です。報告書は取りまとめが遅れているが、地層処分が事業化段階に進んでいる現在、単に核燃料サイクル開発機構とのやり取りに終始しないよう、実施主体である原子力発電環境整備機構の動向にも合せたものとしていきます。  ワークショップ「本音で語る原子力政策」は様々なテーマや規模、スタイルで継続をすることに意義があると考えている。こちらもまずは記録の取りまとめを行っていきます。

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