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高木仁三郎市民科学基金
第10回助成 国内調査研究助成
書類選考通過者の調査研究計画概要


(下記は、それぞれの応募者の助成申込書から概要のみを転載したものです。)



グループ名
代表者名
諫早湾アオコ研究チーム
梅原 亮さん
応募金額100万円
テ ー マ 諫早湾干拓調整池におけるアオコの大発生とアオコ毒の堆積物および水生生物への蓄積と健康リスク
概  要

1997年4月の諫早湾干拓事業により造成された調整池では、近年、春から秋にアオコが大発生している。このアオコはミクロキスティス属の有毒物質(ミクロシスチン:肝臓に対してきわめて高い毒性を有する。)を生産する種であり、世界各地からこの毒による事故の報告が繰り返されてきた。これまでの研究成果より、アオコの発生メカニズムの概要や、産生されたミクロシスチンが調整池内の堆積物や魚類(ボラ)へ高濃度に蓄積され、調整池からの排水と共に諫早湾へ流出し、湾底の堆積物に堆積し、潮受け堤防近傍の海岸の二枚貝(カキ)には生物濃縮の作用によって人体に危険なレベルにまで高濃度に蓄積していることなどをわかっている。調整池がこのままの状態で放置されるならば、アオコがさらに毒性物質の生産を続け、周辺の住民に健康被害が起きる可能性も十分に考えられる。一刻も早く調整池の水門を開いて海水を導入し、塩分の上昇によってアオコの発生を防ぐ必要がある。また、その施策の実現するために、調整池で危険なアオコが大繁殖する実態をさらに明確にして、事の重大性を社会に訴える必要がある。


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グループ名
代表者名
チェルノブイリ救援・中部
池田 光司さん
応募金額50万円
テ ー マ チェルノブイリ原発事故被災地におけるバイオエネルギー生産と農業復興の試み
概  要

1986年に発生したチェルノブイリ原発事故は、事故処理作業者や住民に多くの被害をもたらした。当会は1990年に任意団体「チェルノブイリ救援・中部」を創立以来、ウクライナの被災者や病院に医薬品や医療機器の援助を行ってきた。医療支援の成果は一定程度上がったものの、汚染地域であるジトーミル州ナロジチ地区の住民(約10,000人)の発病率は依然として高い。原因は汚染した食品による内部被曝である。当会は、この実情を改善するために、新たなプロジェクトを2007年から開始した。汚染した土地にセシウム137やストロンチウム90を良く吸収するナタネを栽培し土壌汚染を改善する。同時に収穫したナタネの油を加工し、バイオディーゼル燃料(BDF)に転換して農業用に利用する。ナタネの油には放射能が含まれないのは確認済みである。また、ナタネのバイオマスや油粕はメタン発酵させてバイオガスを作り、燃料として利用する。バイオガスには放射能は含まれないが、バイオガス製造で出る廃液に放射能は含まれる。これを吸着剤で吸着処理し、その吸着剤は廃棄物処理場に保管する。放射能が除かれた廃液は液肥としてナタネの栽培に有効利用できる可能性もある。こうしたサイクルを継続し、土壌中の放射能を低減しながら、汚染地域における農業の再生を目指す。


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氏 名 山下 正寿さん 応募金額100万円
テ ー マ ビキニ水爆実験被災船員の実態調査と事件の実相解明
概  要

いまだに未解明であるビキニ水爆実験による第五福竜丸以外のマグロ船と貨物船などの被災の実態と乗組員の健康状態を追跡調査し、乗組員や遺族の支援方法を研究する。

第五福竜丸と同じようにビキニ環礁周辺海域で操業し、「死の灰」を受けたマグロ船が21隻(東京入港時検査)も確認されながら、漁船員の検査は放置され、記録ものこされていない。

まず、これらの漁船員がその後どういう健康状態であるかを高知県太平洋核実験被災支援センター、平和資料館・草の家、安芸平和教育研究会、幡多高校生ゼミナールなどの協力をえて実態調査し、研究協力者とともに因果関係の立証となる日・米の公文書や日本政府の調査船の資料を解明する。

その上で、被災漁船員や遺族の為に可能な支援策を民間と政府双方にわたって専門家の意見を集約し、提案する。


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グループ名
代表者名
FoE Japan開発金融と環境チーム
波多江 秀枝さん
応募金額50万円
テ ー マ ニッケル鉱山開発および製錬事業地周辺における重金属(六価クロム等)による水質汚染と現地コミュニティーの健康リスクに関する調査
概  要

日本の企業や公的機関が関わり、フィリピンのパラワン島南部で行なっているニッケル鉱山開発、および、ニッケル製錬事業地の周辺に暮らす地元住民らは、これまで、ニッケル開発事業による様々な環境社会影響に対して懸念を抱いてきた。その一つに健康の悪化が挙げられる。その原因特定の試みの一つとして、FoE Japanが共同研究者の協力の下、事業地周辺における飲料水、河川水の水質分析を実施したところ、比較的高濃度のニッケルやクロム、また、日本の環境基準を越える六価クロムが検出されるなど、重金属による水質汚染の可能性が示唆される結果が出た。しかし、事業者は鉱山や製錬の工程に起因するそれら重金属の排水を経由した排出を認めたものの、「フィリピンの排水基準を満たしており問題ない」との認識を示している。また、鉱山および製錬所における立ち入り調査が未実施のため、汚染源の特定や汚染メカニズムの解明までには至っていない。

本調査では、地元住民の将来にわたる長期的な健康被害の未然防止と安全・生活の確保という視点から、こうした水質汚染の原因特定を進めるため、事業地周辺のより詳細な水質分析を継続的に行なっていく。合わせて、底質や生物試料の分析も行う。また、事業地周辺において高濃度で検出された重金属がヒトの健康や水圏生態系に与える影響に関し、主に文献調査を行なう。分析・調査の結果は、地元住民や日本の市民に情報を提供・共有するだけでなく、事業者と一層の情報公開や透明性等に関して話し合う材料とする予定である。


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グループ名
代表者名
モペッ・サンクチュアリ・ネットワーク
畠山 敏さん
応募金額97.6万円
テ ー マ 産業廃棄物最終処分場建設がモベツ川水系の野生サケの遡上・産卵に及ぼす影響に関する市民調査
概  要

北海道の紋別市内を流れるモベツ川の支流、豊丘川の水源域に北海道庁が許可した管理型産業廃棄物最終処分場の建設が進められている。

この計画をめぐっては、周辺住民や、モベツ川に遡上してくるサケの保全や資源管理権を求めてきたアイヌ民族漁師らの反対の声を無視して手続きが進められてきた。

ところが、建設が始まってから地域住民らが豊丘川の調査を行ったところ、サケの遡上と産卵が確認され、専門家の見解では、野生サケである可能性が高まっている。

このことが科学的な事実として立証されるならば、内水面におけるサケ資源の保護を定めている水産資源保護法や北海道内水面漁業調整規則によってサケの捕獲が禁止されていることに鑑みて、サケの生息や産卵に影響を及ぼすことが必至と推定される産業廃棄物処分場を上流地域に立地する計画については、厳しく制限がなされるべきである。

ところが、許可を与えた北海道庁も、また、廃棄物処理法に基づいて事業者が行った設置許可申請に係る生活環境影響調査を審査した道廃棄物処理施設専門委員会も、この水域におけるサケの生息及び産卵調査はいっさい実施しておらず、その検討すらも行わずに事業が進められている。

そこで、まずは豊丘川をはじめ、モベツ川水系におけるサケの遡上及び産卵に関する科学的な調査を市民の手で行い、野性サケの存在とその保護の重要性を訴えていきたい。


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グループ名
代表者名
カネミ油症被害者支援センター
石澤 春美さん
応募金額100万円
テ ー マ 厚生労働省実施「油症患者に係る健康実態調査」検証報告書の作成
概  要

1968年西日本一帯で起きたライスオイルによる食中毒事件。事件発生から42年たった今も油症被害は続き、治療法も救済策もない中で、多くの被害者は未だに苦痛と困窮と不安を抱えながら暮しています。

厚生労働省は2007年4月、当時の与党PT救済勧告を受けてカネミ油症被害者の健康実態調査を実施しました。その目的は「カネミ油症のダイオキシン類の直接の経口摂取による健康被害という特殊性を考慮し、油症研究の加速的推進に資するため、患者の協力を得て健康実態調査を行い」「実態調査を踏まえて、従来より行われてきた油症研究の一層の充実・強化をはかる」というものでした。被害が起きてから初めてという大規模調査です。この結果で被害者救済に弾みがつけられるのではないかと期待していました。

調査票は被害者が住む都府県に提出し集計されたものを厚生労働省で集約し、「油症患者健康実態調査の解析に関する懇談会」で解析し報告書を出すという予定でした。そして2009年度3月に「油症患者に係る健康実態調査結果の報告」が出ました。その報告書は解析したとは思えず、被害実態を解りやすくまとめたとは言いがたい内容になっていました。そこでYSCが預かっている199名分の被害者の調査票(厚生労働省に提出したもののコピー)を独自に集計し、懇談会の報告の解析とYSC独自の集計結果の解析を試みました。(厚生労働省に回答した数:1,131名)


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グループ名
代表者名
化学物質による大気汚染から健康を守る会
森上 展安さん
応募金額100万円
テ ー マ 合成樹脂系VOCの健康影響実態調査
概  要

合成樹脂があらゆるところで多量に使われるようになり、毒性が強い樹脂系VOCが重大な健康影響を引き起こしているにもかかわらず、実態の調査研究が乏しく、規制物質種類などさえも適切と言い難い。この広範な環境汚染は、住民参加で多面的に光を当てる調査研究しなければ間に合わない。19年度から市民自身によるVOC汚染物質調査を簡易クロマト型分析器で実施し、特に合成樹脂系VOCの有害を強く認識するようになった。22年度からNPOとして再組織され各分野の専門家が充実したので、合成樹脂系VOCにつき、被害症状と医療対策の調査研究、呈色試薬およびクロマト型モニターなどによる簡易分析実施、専門的分析結果の検討、生物への影響観察、などの多面的総合調査研究に発展させることとした。調査は結論を待つことなく進展する各段階で公表し、関係ある諸団体との協力を求めると共に、地域汚染や健康被害者への支援にも役立て、またITネットや文書および口頭での発信による情報交換を行い、行政など各方面への政策提言に結び付けたい。


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グループ名
代表者名
六ヶ所再処理工場放出放射能測定プロジェクト
古川 路明さん
応募金額100万円
テ ー マ 六ヶ所再処理工場からの放射能放出に関する調査研究
概  要

六ヶ所再処理工場は、2006年3月31日から、使用済み燃料を対象としたアクティブ試験を開始した。高レベルガラス固化体製造工程の事故・トラブルのため竣工時期が度々延期され、現在は2012年10月の予定となっている。

六ヶ所再処理工場放出放射能測定プロジェクトでは、再処理工場周辺の環境試料の採取、測定を、市民と共同研究者によって行う。測定対象核種は、ガンマ線測定(海砂、松葉)、トリチウム(β線、大気中・海水)、炭素14(β線、米・松葉)で、一部委託測定を実施する。

六ヶ所再処理工場は、アクティブ試験全体で425トンの使用済み燃料をせん断した。その結果放出された放射能は、気体放射能として、クリプトン85が220万キュリー、トリチウム500キュリー等、液体廃棄物としてトリチウム6万キュリー等が、放出された。

県・事業者等の測定では、クリプトン85が工場敷地内9カ所、周辺8カ所のモニタリングポストで頻繁に確認されている。また尾駁沼では、ヨウ素129が魚や海藻で濃縮されている。今年度は、事業者、行政等の測定データ等も包括的に収集し、批判的に検討しながら、本調査研究の結果と合わせて、工場周辺の汚染の状況を明らかにする作業に取り組む。

工場の竣工以降は、年間800トンの使用済み燃料がせん断される予定で、汚染の拡大は必至である。汚染の全体像をわかりやすく解説する「リーフレット、またはマップ」等を作成する。


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グループ名
代表者名
海岸生物環境研究会
山下 博由さん
応募金額80万円
テ ー マ 原子力発電所周辺における海岸生物相の研究
概  要

日本では現在、50基以上の原子炉が稼働中であり、その安全性や環境に対する影響には様々な議論がある。

原子力発電所(原発)の海洋環境に対する影響としては、温排水、放射能、塩素処理水が主要なものであると考えられるが、それらが全体的あるいは複合的に海洋生態系にどのような影響を及ぼしているのかは、よく分かっていない。

特に、原発周辺における海岸生物相の研究やデータは、日本では乏しく、原発が海岸生物に及ぼしている影響は、よく把握されていない。すなわち「原発周辺の海で、何が起きているのか?」は、殆ど認識されていない状態にある。そこで、本研究では、原発周辺の海岸生物相の現状を把握するための調査・研究を行う。

調査は予備調査及び本調査に分け、以下の地域で行う。

予備調査:定性調査と本調査実施場所の選定。地域1、茨城〜宮城(東海、福島、女川原発周辺)。地域2、静岡、若狭湾(浜岡、美浜、大飯、高浜原発周辺)。

本調査:定性調査と定量調査。地域1、愛媛(伊方原発周辺)。地域2、佐賀(玄海原発周辺)。

定性調査では、採集と写真撮影によって、海岸生物相の全体像を把握し、生物多様性などの評価を行う。定量調査は、原発敷地から1km以内、3km、5kmの地点において、50cm x 50cm コドラートで各地点9サンプルを採集する。

これらの調査によって、1)原発周辺における海岸生態系の現状把握、2)原発周辺における海岸生物相調査方法の確立、3)環境指標種の選定、4)市民調査の有効性の検証、5)原発周辺の海岸生物データベースの作成、を行う。


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グループ名
代表者名
ピープルズ・プラン研究所
山口 響さん
応募金額100万円
テ ー マ 在沖米海兵隊グアム移転がグアムと北マリアナ諸島に与える影響の研究
概  要

米軍の世界的再編に関連して、日米両政府は「再編実施のための日米のロードマップ」を2006年5月に発表し、その中で、「沖縄の負担を軽減する」との名目の下、在沖縄米海兵隊8000人とその家族9000人をグアムに移転し、そのための財政的負担を日本も担うことが決まった。また、昨秋の民主党政権成立以降は、普天間基地の移設先として、グアムや北マリアナ諸島の存在が注目されるようになってきた。

私たちはすでに、2009年度、2010年度と、高木基金からの支援を得て調査を行ってきたが、その中から出てきた以下の論点を中心に、さらに継続して調査を行いたい。

第一に、日本との関わりである。日本国際協力銀行(JBIC)、日本の地方自治体の公共事業部門(水関連など)、グアムと姉妹都市・経済連携の関係にある日本の自治体、グアム現地の日系観光産業など、グアムとの関係を持つ日本の主体は少なくない。海兵隊移転計画が進展する中でそれらのつながりが具体的にどのようなものになっているのかを明らかにする。

第二に、射撃訓練場の新設が予定されているパガット地区をめぐる問題である。同地区の米連邦による接収に対しては、自然環境や文化の保護の面から強い反対論がある。

第三に、グアムの土地接収の歴史について調査を行う。これはたんなる過去に関する研究ではなく、その歴史が現在の海兵隊移転問題とどのように関連しているのかが焦点である。

第四に、今年度は、調査対象として、あらたに北マリアナ諸島を加えたい。日本・沖縄において、テニアン島を普天間基地の移転先候補とする議論が強まっていることに対応したものである。

日本の市民や納税者として、移転計画が現地に与えうる影響を実証的に明らかにし、計画の是非をめぐる議論をもっと広く起こしていく必要がある。


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グループ名
代表者名
彩の国資源循環工場と環境を考えるひろば
加藤 晶子さん
応募金額22.4万円
テ ー マ 彩の国資源循環工場による環境汚染調査
概  要

埼玉県寄居町三ヶ山には、約90haもの規模の、約20年前から稼働している「埼玉県環境整備センター」という県立の廃棄物埋立施設があり、2007年からは、同じ敷地内に「彩の国資源循環工場」という埼玉県が主体的に関わる大型複合産業廃棄物中間処理施設があります。

「彩の国資源循環工場第U期事業」は、これらの隣接地に、平成24年埋立て竣工、操業開始として進めれている、廃棄物埋立てと、第T期同様の工場群を予定しています。

しかし「環境整備センター」では、現在埋め立て稼働中の3号地のほかに複数の埋立て予定地が残っており、容量としてまだあと約50%埋立て地の余力があり、現段階では早急に新たな埋立て処分場を建設する必要はないと判断できます。

わたしたちは「彩の国資源循環工場第U期事業」計画は凍結し、今後の廃棄物発生量の見通しなどを十分に検討しながら、事業自体を見直すことを求めています。

行政が関わっていることから地元からも信頼されている一方、周辺住宅地での悪臭の観測、1年前にはクローズドシステムだから絶対出ないとされていた排水から、鉛・ホウ素・ダイオキシン類が排出されていたことが明るみになりました。

そこで、2008年は今まで重視していなかった水質調査を、高木基金の助成を受け、行うことにしました。井戸水・湧水測定を開始しました。

現地周辺の地質の基本的な調査(過去・現在の文献、白地図による地下水系図作成)を行い、主に水質について環境影響を受けているもしくは将来受けるであろう河川を詰めていき、その河川の中でさらに影響が懸念される箇所で定期的にパックテストによる水質測定を行い、また、湧水探索会で異常と思われた箇所について、公定法で重金属類数種の調査を行いました。

この地下水系図をもとに三ヶ山(ターゲット)内外の地下水の水質を測定し、測定河川と測定項目の見直しをしました。


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グループ名
代表者名
原発老朽化問題研究会
伴 英幸さん
応募金額97万円
テ ー マ 玄海1号炉の高い脆性遷移温度の検討
概  要

九州電力が運転する玄海1号炉で、同機の脆性遷移温度が98℃に達していることが、地元議員ならびに住民の追求で明らかになり、当老朽化問題研究会が相談を受けた。

原子炉容器は中性子の照射を受けてもろくなっていく。このもろさの程度を示すのが脆性遷移温度で、98℃は異常に高いと言える。98℃以下である圧力が加わるようなことがあれば、突然原子炉容器が破壊する可能性がある。

老朽化問題研究会ではこれまで敦賀1号炉の高経年化技術評価報告および美浜1号炉のそれを検討し、日本電気協会が定める脆性遷移温度の予測式の正確さに疑問を呈してきた。学会もそれを一部認めて修正版を作ったが、それでも98℃は予測式からはるかに外れる結果となっている。玄海1号炉は1975年10月に運転を開始している。

九州電力はこれまで同機の脆性遷移温度を4回測定しており、1993年は56℃だったが、2009年に98℃に達した。予測から大きく外れた異常な上昇といえる。

地元でも関心の高いこの問題に、協力して取り組むことにした。脆性遷移温度の算定の仕方、評価の仕方、予測式の問題点などに加えて、他原発の動向も併せて調べる。

老朽化原発研究会は、他の老朽化問題も扱っていくが、玄海1号炉のこの問題に重点を置いて取り組むこととする。


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グループ名
代表者名
北限のジュゴンを見守る会
鈴木 雅子さん
応募金額74万円
テ ー マ 草の根市民による沖縄のジュゴン保護活動の構築
概  要

世界の分布の中で最も北に生息する沖縄のジュゴンはその数わずか数十頭と言われ、国の天然記念物としてまた絶滅危惧種として厳正に保護されなければならないが、米軍再編に関わる日米安保体制の中で、その最も重要な生息地に新たな米軍基地の建設という脅威に曝されている。この沖縄のジュゴンの保護のためには、再発見されてからすでに10年以上かけても有効な保護策の打てない国に任せるのではなく、地元市民が主体となって保護策を講じなければ近い将来絶滅するのは明らかである。

この調査活動では、市民自身が担って行くジュゴン保護の方策を、沖縄のジュゴンにまつわる歴史と文化および海外の保護策も参考にして検討し、具体的な中長期 計画の作成をめざす。また専門家の協力を得て、現地で実行可能な調査手法により、現存するジュゴンの保護及び、生息環境の保全に向けたデータを集積するために以下の調査を行う。

加えて、市民による保護活動の地盤を作っていくための啓発活動として、一般向け食み跡観察会や学習会を開催、なおかつ積極的に地元行政へジュゴンの生息地保全を働きかける。

1)ジュゴンの生息環境を明らかにするためのジュゴンの食み跡モニタリング調査の継続。

2)保護活動の先行事例と地域文化について聞き取り、文献調査。

3)ジュゴンの保護を具体化するための中長期計画の作成。

4)持続的な調査への協力を得、また有効な保護方策の受容を可能にするために必要な地域住民の啓発活動(一般向けの食み跡観察、陸上学習会、講演会)。

5)環境マニフェスト市民の会活動などを通じた積極的な地域行政へのコミット


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グループ名
代表者名
長島の自然を守る会
高島 美登里さん
応募金額100万円
テ ー マ 埋め立ての危機に瀕する上関原発予定地および周辺海域の生物多様性の立証
概  要

上関原発計画は中国電力が2010年9月より海域埋立工事に着手する動きを3度も繰り返すなど非常に緊迫している。祝島を中心とする抗議行動で工事の進捗を遅らせているが、1999年からの10年間の調査成果を踏まえて、日本生態学会などの研究者が“奇跡の海”と称賛する生物多様性のホット・スポットが存続の危機に直面している。

2011年度は特にウミスズメ類について世界最新手法を確立したチームと連携して調査を行い、ウミスズメ類の生息に上関海域の果たす役割を解明する。また新たな分野として魚類の生息状況を把握し、漁業資源・生物の餌資源としての価値を解明する。

これらの結果を踏まえ、生息地の自然環境の変化・採餌条件の悪化・繁殖地の消滅や繁殖環境の悪化など公有水面埋立が長島および周辺の生物多様性に与えるダメージの科学的検証をする。また「上関自然の権利訴訟」で祝島を調査区域に加え、環境アセスメントの不備を追及する戦力に役立てる。

また、2011年4月の国際シンポジウムを皮切りに国際的に上関の生物多様性の価値を広める。国際シンポジウムを「上関をユネスコの自然・文化遺産に!!」する運動の出発点として位置付け、そのための具体的な学習・宣伝活動を行う。

さらに「祝島100パーセントエネルギー構想」の一環としてエコ事業に着手する。専門家をガイドにしたエコツアーを企画して地域活性化の第一段階と位置付ける。自然と共生できる町作りへの具体的提案未利用海藻や魚類の商品開発などの提言を研究者と共に行う。


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