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高木仁三郎市民科学基金
2018年度 国内枠調査研究助成
書類選考通過者の調査研究計画概要(受付番号順)


(下記は、それぞれの応募者の助成申込書から概要のみを転載したものです。)

グループ名
代表者名

高野 聡さん
応募金額 73万円
テ ー マ 韓国・新コリ5,6号機公論化委員会をめぐる脱原発団体の対応に関する研究
概  要

 本研究で「韓国・新コリ5,6号機公論化委員会をめぐる脱原発団体の対応に関する研究」と題した報告書を作成する。研究対象は2017年7月から10月まで3ヶ月間運営された新コリ5,6号機公論化委員会と、その委員会の審議に参加した脱原発団体の対応と戦略についてだ。ムン・ジェイン政権は、建設中だった新コリ5,6号機の建設続行の是非をめぐり、公論化委員会を結成した。公論化委員会は、 選抜された一般市民が建設賛成・反対相互の専門家の意見を聞き、熟慮した上で、その是非を判断するという公論調査を実施した。これは、公共政策に関して、幅広い利害関係者の参画の下、深く議論を積み重ねた上で、政策決定を行ういわゆる熟議民主主義の実践だったといえる。
 その間、 脱原発団体は建設反対の専門家として公論調査の審議過程に深く関与する立場を取った。脱原発団体は、委員会の公正さや審議進行の条件をめぐり、 内部で激しく議論しつつ、公論化委員会へ意見の提示も行った。また 公論化委員会終了後も、公論化委員会参加の是非、対応や戦略の妥当性、熟議民主主義の可能性と限界などに関する内部評価が継続中だ。当研究の目的は、公論化委員会をめぐる脱原発団体の対応と戦略を分析し、課題や示唆点を導出することだ。研究は文献調査や脱原発団体への深層インタビュー、参与観察を通じて行う予定だ。
 当研究は日本の脱原発団体に与える示唆が大きいと考える。2012年8月に、日本でもエネルギーミックスに関する討論型世論調査が行われたが、脱原発団体はそれにあまり関与しなかったこともあり、熟議民主主義的な政策手法に対する理解や政策提言が不足している状態だといえる。韓国の脱原発団体が原発に関する熟議民主主義的な政策過程にどのような戦略をもって参加したのかについて深く理解することは、今後日本の脱原発団体が同様の立場に置かれた時の対応やあるべき戦略を考察する上で、大きな助けとなると考える。


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グループ名
代表者名
ふくいち周辺環境放射線モニタリング・プロジェクト
満田 正さん
応募金額 50万円
テ ー マ 福島第1原発周辺地域の空間および土壌の放射線測定
概  要

 2011年の福島第一原発爆発事故で、放射性物質に汚染された福島県南相馬市鹿島区・原町区の山側8行政区(特定避難勧奨地点のあった地域)を中心に、2012年10月より積雪の可能性のある2月を除き毎月1回(約1週間)、これまで45回にわたる放射線測定を行っています。2015年からは飯舘村、伊達市、川内村、浪江町、富岡町等に測定エリアを広げています。
 測定は、地図をメッシュに切りメッシュ内1点を、以下の4項目の測定方法により放射性物質の汚染状況を記録しています。
@日立製の空間線量測定器(アロカTCS172B/1172)による地上1m/50cm/1cm高の空間線量率(μSv/h)測定
A日立製の表面汚染測定器(アロカTGS146B/1146)による地表1cmの表面汚染計数率(cpm)測定
B上記測定時にスマートフォンと無線で繋いだ簡易型放射線測定器(ギョロガイガー)を使い位置情報・時刻情報・空間線量率を焼き込んだ写真撮影
C土壌を採取し放射性セシウムの定量分析(土壌分析にはキャンベラ社製放射能食品分析器を使用)

その他、2015年4月提訴の「南相馬・20ミリ基準撤回!」訴訟弁護団と原告団に測定データを提供し、原告団勉強会に参加しています。
なお、私たちの活動は、60歳以上のシニアを中心として、全てをボランティアとして行っているものです。


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グループ名
代表者名
いばらき環境放射線モニタリングプロジェクト
天野 光さん
応募金額 85万円
テ ー マ 福島原発事故による茨城県の放射能長期汚染とその特徴
概  要

 東京電力福島第一原発(F1)事故により、福島県を始め、東北地方や関東全域は広範囲に放射能汚染された。こうした中で福島県での放射能測定はかなり集中的に行われているが、茨城県での測定は、散発的であり、汚染があるにも拘わらず、茨城県での放射能汚染の特徴は必ずしも明らかではない。本研究は、茨城県における空間線量の測定を主体とし、茨城県におけるホットスポットや汚染の特徴を明らかにし、放射能汚染の将来予測を行う。F1事故が経過してから2018年3月で丸7年となり、空間線量に及ぼすセシウム-134(半減期2年)の影響はほぼなくなっている。空間線量に影響する放射性核種は、天然放射性核種以外ではセシウム-137(半減期30年)が主となってきており、今回の測定により、空間線量の将来予測も可能である。またホットスポットにおいては土壌中の放射性セシウムの他に重要核種であるストロンチウム-90の測定も行い、Sr-90/Cs-137比を明らかにし、福島事故による汚染の特徴を明らかにする。空間線量値は測定器の特性によっても異なるので、我々の測定では校正された同じシンチレーション測定器(日本精密測器製RADCOUNTER DC-100)を用い、国の基準で校正された測定器とのクロスチェックも行う。また測定のフォーマットは統一して行う。東海第二原発の再稼働も目論見られている。再稼働となれば、放出される放射性希ガス等による空間線量の増加も考えられるので、F1事故後の値とその特徴をしっかり把握しておくことが重要である。また県内の何地点かでは環境放射能汚染指標植物として松葉及び桑の葉を採取し放射能測定を行う。
 また可能ならば、事故初期からの茨城県の放射能汚染とその特徴についても、整理しておく。


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グループ名
代表者名
設楽ダムの建設中止を求める会
設楽ダム地質調査グループ

市野 和夫さん
応募金額 40万円
テ ー マ 設楽ダム建設予定地周辺の地質調査その2
概  要
 設楽ダム予定地一帯は、設楽盆状構造の西北の縁に当たり、過去に激しい地質構造運動を受けてきた。そのため、極めて地盤が悪く、1960年代初めに電源開発がダム建設を断念した経過がある。その同じ場所に、国が建設を進めている。立地選定の過程で、活断層の調査は十分でなく、詳しい調査は行われていない。また、ダムサイトを決定した後、転流工の工事が開始された2017年時点でも地質地盤調査が続けられており、ダム堤体の詳細設計は未だ完成していない。
 2015年度に助成を受けた研究の成果の上に立って、以下の調査研究を進める。
@ 2017年に開示された国の地質調査報告書のデータに基づいて、重力ダムの安定性について検討をする。
A これまでの開示情報、現地踏査結果等を総合して、ダムサイト周辺の脆弱な地質について、地質構造および変動地形の面から明らかにする。
B 同様に、ダムサイトおよび周辺からの漏水の可能性について、地質構造面から検討する。
 地質学および変動地形学等の専門家の協力を得て上記を踏まえた報告書を作成する。

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グループ名
代表者名
環境電磁界研究会(NPO法人市民科学研究室)
網代 太郎さん
応募金額 94万円
テ ー マ 電磁波曝露のリスクに焦点をあてた5Gシステムの技術影響評価
概  要

 スマートフォンの爆発的普及にみるように電波の利用は拡大の一途をたどっている。次なる拡大戦略の中核は「第5世代(5G)移動通信システム」である。スマートフォンのみならず、監視カメラ、遠隔操作、ヴァーチャル・リアリティ、自動運転などに応用が広がり、「超高速化」「多数同時接続」「超低遅延」でデータ通信を行う5Gは、日常生活での高周波曝露を飛躍的に増大させることは確実である。だが、5Gの推進を検討する任を負う総務省「新世代モバイル通信システム委員会」において、5Gによる曝露のリスクはほとんど考慮されていない。本研究では、曝露状況の適切なモデル化と実測、そして文献調査を組み合わせて、5Gの導入に伴うトータルな曝露量を推計し、その健康面でのリスクを推定する。


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グループ名
代表者名
被ばく労働を考えるネットワーク
渡辺 美紀子さん
応募金額 100万円
テ ー マ 原発労働者の労働安全・補償制度と被曝労働災害の実態に関する国際調査(その2)
概  要

 福島原発事故以前から政府と電力会社及び元請会社は、原発労働者の労働実態と健康被害状況について、隠蔽と言って差し支えないほど明らかにしていない。その条件のもとで、主として非正規雇用労働者が使い捨てられてきた。労働者保護制度は不備であり、使いうる制度さえ労働者がアクセスしにくい環境が作られている。被曝労災・労災死を一人でも減らすため、原発被曝労働に関する実態解明と労働安全・労働者保護制度そのものと運用のあり方の抜本的見直しは緊急の課題である。また、原発問題のアキレス腱でもある被曝労働問題があまり注視されないのは、原発を持つ他の国でも同様であり、この問題は国際的な共通課題である。
 本研究では、日本のみならず原発を有する各国について、公開資料等から原発労働者の労働安全制度と労災補償制度について比較するとともに、各国の労働団体・市民団体と協力して労働者への聞き取り調査を行い、労働実態と労災・健康被害の国別比較を行い、そこから捉えうる問題を明らかにすることを目的とする。
 研究を進める国内体制としては、被曝労働問題に取り組む諸団体や社会学的調査の経験がある研究者と共同で行う。国際的体制としては、今年度の調査研究に参加したウクライナ、フランス、ドイツ、韓国、日本のメンバーに、この調査研究の過程で関係ができたアメリカの共同研究者を加えた6カ国の協力体制で進める。
 この調査研究は2017年度に高木基金の助成を得て開始されたが、財政的・マンパワー的事情から、初年度は主にフランス、韓国、日本についての調査が行われた。本申請では、上記3カ国の調査結果を集約しつつ、初年度に十分な調査ができなかったドイツ、ウクライナにアメリカを加えた3カ国の調査を重点的に行う。
 この成果は、労働者や市民に対して被曝労働に関する正確な情報を提供するために用いるとともに、各国政府および事業者に対して、労働安全・労働者保護制度の改善を要求するために用いる。


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グループ名
代表者名

伊藤 延由さん
応募金額 40万円
テ ー マ 福島県飯舘村の村民のための、放射能による村内環境汚染の実態調査
概  要

 2017年3月31日に村内の一部帰還困難区域を除き国の避難指示は解除されたが村内の放射能による汚染環境は何ら変わらず依然として高い状態にある。
 現在行っている調査研究では“自然の循環サイクルに組み込まれた放射性物質は調査困難”を実感しているが避難指示解除で帰還した村民の被ばくを避ける様に汚染状態の情報を発信し続ける事を主眼に調査研究を進める。
@山菜、茸の経年変化調査
 ・経年とともに減少傾向の物(ふきのとう)
 ・乱高下を繰り返す物(ワラビ・コゴミなど多くの山菜)
 ・生育環境には変化が無いにも関わらず97%も低減する山菜(タラの芽)
 これらの追跡調査と変化の原因調査を継続する。
A脱セシウムの追加調査
 フキ、ワラビについては塩蔵塩出しによるセシウムの大幅減少を確認しており、量を増やし塩出しのタイミングによる減少率の確認等を行う。
B土壌セシウム濃度の推移調査
 農地は除染により大幅に低下したが経年による変化を追いその原因を調査する。

 これらの調査結果を用い帰還住民の被ばく(内部、外部)低減に役立てる広報を行う。
 事故により失った自然の恵みの補償と称する補償は2018年3月を持って終わるが補償継続の運動につなげる。


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グループ名
代表者名
乳歯保存ネットワーク
松井 英介さん
応募金額 100万円
テ ー マ 個人の被曝量を特定できるストロンチウム-90測定法の確立および乳歯保存・乳歯中のストロンチウム-90測定
概  要
・2011年の東京電力福島第一原子力発電所事故は、莫大な量の核分裂生成物を環境中に放出した。その一つである放射性ストロンチウム90(以下Sr-90)は、カルシウムと類似の挙動をとって骨や歯牙組織に長期間とどまり白血病等の発症のリスクを高める。
・かつて大気圏内核実験の際には国内でもSr-90の観測態勢があった。しかし福島事故後系統的なSr-90測定は一切行われていない。
・脱落した乳歯中のSr-90濃度と骨の中のそれは同程度であるため、乳歯の測定によりSr-90の内部被曝を個人レベルで決定することができる。そこで、私たちは乳歯を集めてSr-90の濃度を測定することを「当面」の目標に活動を行ってきた。
・具体的には、@福島県を中心に乳歯収集のネットワークを確立する。Aスイスで行われている比較的簡便なシュウ酸塩法によるSr-90測定法を改良し、高精度で個人の被曝量の特定ができる手法を確立する。B測定所を開設する。
・上記のA,Bの実行組織には、未来型非営利の「株式会社 はは」を設立してあてる。
・(株)ははには1000名以上の株主の応募があり、出資額が2000万円を超えたので、低バックグラウンドβ線測定器(1500万円)を発注し、近々納入される予定である。測定所の開設場所も決まり、改装工事にかかっている。
・これまでの乳歯保存ネットワークは、そのまま存続し、 (株)ははと一体となって、引き続き乳歯収集のネットワーク作りをめざす。
・当面、スイスと同様な方法で測定を開始するとともに、イオン交換法や溶媒抽出法を加えた、より精度の高い処理方法を確立する。
・ベータ線の内部被ばくの実態を明らかにし、生体影響について科学的に言及できる第一歩として期待できる。

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グループ名
代表者名
アトピッ子地球の子ネットワーク FAICMプロジェクト
赤城 智美さん
応募金額 100万円
テ ー マ アレルギー表示に起因した食品回収を経験した企業の実態調査
概  要
・アレルギー表示ミス・アレルゲン混入等に起因する食品回収事故は2008年74件。2016年は229件。9年間の総計は約1,300件。事故原因の解明や改善に関する行政の動きはなく企業実態・事故実態についても調査されていない。アレルギー表示のミス、混入は患者の発症事故に直結する出来事である。実態解明が急務と考える。
・私共が運営するWebサイト「食物アレルギー危機管理情報(FAICM)」では食品回収の記録を蓄積している。「アレルギー表示を起因とする食品回収を経験した企業」を対象に、食品表示ミスの経験、改善実施の有無、回収個数、回収にかかった費用、その後の再発経験、社員教育の実施、アレルゲン管理、使用している検査キット、検査方法など安全管理の実態について聞く。食物アレルギーの発症やアレルゲンの種類などの知識についても質問。行政や調査主体の私たちに対する質問意見なども質問する。
・アンケート郵送方式による調査。ハガキ、電話による回答促進を行う。対象1,300社。回答500通を目指す。解析はSPSSを使用。単純集計、クロス解析結果をふまえ食品流通や品質保証等の専門家、公衆衛生専門家等に意見を聴く。アンケートの冒頭に(1)会社名は絶対外に出さない(2)調査報告書を必ず送る(3)御社の安全管理に役立つ資料となるはずだから協力してほしい の3点を書く。ステークホルダーとの意見交換も実施。それらをまとめ報告書を作成。
・行政、議員へのアドボカシー。食品、流通への教育資料として配布。

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グループ名
代表者名

田代 豊さん
応募金額 80万円
テ ー マ 沖縄の米軍基地による環境汚染問題に関する市民が主体となる調査研究
概  要

 沖縄の米軍基地からは現在も環境汚染物質の流出が続いていると推定され、近年は基地返還が部分的に進行し、跡地利用の際に有害物質汚染が発覚する事案が多発している。また、軍用機墜落事故などによる有害物質汚染の懸念も頻発している。本研究は、基地排水中の汚染物質の存在と周辺生物への影響を、市民参加による調査によって実証する。
 南西諸島の環境問題に関する調査分析の実施は現状では行政機関などに限られているため、その実態解明は政治状況などに左右され、民主的な問題解決を阻害する要因の一つとなっている。このため、市民の側に立った調査を可能にする仕組みづくりが緊急に必要であるとともに、市民生活上の問題である環境汚染により多くの科学者が参画するためには、市民と科学者との間の接点が必要である。
 本研究では、調査実施に先んじて、南西諸島の環境問題と環境調査の現状・課題、環境データの見方と環境分析に関する、市民や学生を対象とした公開講座を開催する。その上で、有害物質汚染調査を市民参加によって実施する。降雨時の流出排水の採取とパッシブサンプラーによる有害物質吸着監視を行い、周辺のリーフや岸壁での釣りにより魚類を採取する。これら試料中のPOPs等有害物質を、市民も参加して分析測定する。
 得られた結果は社会に公表するとともに、この過程を通じて環境汚染問題に取り組む人材(市民・学生・研究者・コーディネーター)の育成と連携を図り、将来の市民ラボ開設の可能性について検討する。


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グループ名
代表者名

鈴木 真奈美さん
応募金額 50万円
テ ー マ 台湾における核エネルギー利用の後始末〜市民運動のイニシアチブに着目して〜
概  要

 台湾は2017年、原子力発電の終了を法制化した。稼働中の原発6基は、2018年末から順次運転を終了し、2025年までに全基が廃止措置に入る予定である。それに伴い、これまで先送りにされてきた核廃棄物問題への取り組みが、行政にとっても、脱原発を追求してきた運動にとっても、喫緊の課題となっている。
 本研究の目的は、原発廃止を選択した台湾が「核の負の遺産」(Nuclear Legacy)にどう向き合い、社会的にどう対処しようとしているのかを、各方面の関係者への聴取、現地(原発立地地元、蘭嶼島)調査、文献調査、参与観察を組み合わせ、実証的に明らかにすることにある。
 台湾の市民運動は政府に原子力政策転換を促す過程で、環境正義、手続き的公正、地方分権などに注力してきた。こうした背景の下に、市民運動は今日、「核廃棄物問題への最終的な答えに近づくため」(NGO幹部)、熟議デモクラシーの考え方に基づく討論会を開催したり、政策提言したりしている。これは「市民科学」が立脚する「最終的な政策決定者は市民である」ことを実践するものである。本研究は核エネルギー利用の後始末に向けた台湾の取り組みを、市民運動のイニシアチブに着目して考察し、その成果を論文や著書などを通じて国内外の人々と共有していく。原発廃止を定め、その上で核廃棄物問題に取り組む台湾の事例を検討することは、この問題をめぐる日本での議論に有用な示唆を提供するだろう。


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グループ名
代表者名

五十嵐 康弘さん
応募金額 30万円
テ ー マ チェルノブィル原発事故後のポーランドの甲状腺がんについて
概  要

 チェルノブィル原発事故時のポーランド政府による安定ヨウ素剤配布とその後の小児甲状腺がん発生の実態を明らかにしたい。

 日本では「安定ヨウ素剤を素早く国民に配布したから小児甲状腺がんは発生しなかった」と紹介されることが多いが、ポーランド人科学者が「オカルト癌」と見なしながらも数千の発症数を認める記述もあり、認識に大きな隔たりがある。
 安易にポーランド政府の対応を賞賛したり、安定ヨウ素剤の配布をもって原発災害対策が事足りると見なす前に、基本的事実を再検証する必要がある。
 ポーランド語の資料から当時のポーランド政府の対応と小児甲状腺がんの発生数の実態、またそうした症状がポーランド社会の中でどのように受容されてきたかについての実際的な全体像を把握し、日本社会における議論の土台として提供したい。

 また、現在のポーランドでは、甲状腺がんに限らない様々な病状についてチェルノブィル原発事故由来のものだと信じる市民がいる一方で、政府の原発建設計画の下に繰り広げられる原子力啓蒙活動においてはホルメシス仮説が前面に出ている。何故チェルノブィル原発事故を隣国として経験しながらホルメシス仮説が社会の中でまかり通ってしまうのか、社会的記憶の喪失から原子力推進への捩れの過程も明らかにしたい。
 この過程を明らかにすることは、日本の市民社会の放射線防護に関する知識を高め、福島原発事故の社会的忘却・原子力推進への揺り戻しに効果的に対抗する手がかりを浮かび上がらせるものと考える。


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グループ名
代表者名
コンゴの性暴力と紛争を考える会
華井 和代さん
応募金額 100万円
テ ー マ コンゴにおける資源採掘と人権侵害の実態調査
概  要

 本研究の目的は、世界有数の資源産出国であるコンゴ民主共和国(以下、コンゴ)において資源採掘と地域住民への人権侵害が結びついている現状を明らかにし、世界有数の資源消費国である日本の政府、企業、市民が責任ある行動をとるための提言を行うことにある。
 コンゴ東部で採掘される鉱物(スズ、タングステン、タンタル、金)が武装勢力や軍の資金源として利用されていること、そして鉱山周辺の村では組織的な性暴力を含む深刻な人権侵害行為が行われていることは、2000年代から国際社会で訴えられてきた。そのため、2010年にはOECDとアメリカで「紛争鉱物取引規制」が制定され、企業に自社のサプライチェーンに紛争鉱物が紛れ込まないよう「紛争鉱物調達調査」を実施することを求めた。しかしながら、詳細な制度設計を行わないままに導入された本規制は、むしろ鉱物採掘からの収入を得られなくなった武装勢力が住民に対する略奪行為を悪化させたり、密輸が横行して規制が機能しない金鉱山周辺で武装勢力と軍の衝突が増加する状況を招いた。他方で、調査を実施している企業は、コストと努力にもかかわらず状況が悪化していることに不満を募らせ、規制の撤廃を求め始めている。
 なぜ、製品の生産者・消費者としての責任を全うするために制定された規制が紛争解決に結びついていないのか。現状を打開する方策として、どのような次の政策を実施するべきなのか。
 本研究では、紛争鉱物取引規制がコンゴ東部の紛争状況におよぼした影響を、国際機関および現地のメディア、NGO、援助機関が発信する情報と統計資料、周辺国に逃れた難民への聞き取り調査から明らかにする。その上で、紛争解決に向けて日本の政府、企業、市民がとるべき方策を当事者とともに議論する。


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グループ名
代表者名
メコン・ウォッチ
木口 由香さん
応募金額 50万円
テ ー マ タイにおけるバイオマス発電の住民生活への影響調査
概  要

 タイは世界第2位の砂糖輸出国である。近年同国では、化石燃料の代替として、サトウキビの搾りかすであるバガスなど、未利用バイオマスの有効活用をうたう事業が複数実施・計画されている。その一部は日本の政府助成金の対象となり、日本企業が事業に参画する例も見られる。
 タイ政府は2011年に、砂糖生産の中心地で大規模サトウキビ・プランテーションの多い中部から、それらが少ない東北部でも製糖工場と併設するバイオマス発電所の建設を認める政策転換を行った。だが、東北部では集落至近でのプラント建設と、プランテーションの増加による生業への打撃が懸念され、一部の事業は地元住民の強い反対にあっている。今後、代替エネルギー分野においてもタイで日本企業の投資が増えることが予想されるが、関連情報のほぼ全てが現在タイ語で発信されているため、日本国内では地域住民の懸念や事業の環境影響が知られていないのが現状である。
 本調査では、タイでのバガス利用のバイオマス発電所建設を事例に、事業が内在する地域の環境と住民生活への影響を明らかとする。また、事例から導き出された争点を整理し、原因となる政策等の背景状況を分析する。それらの情報をプランテーションの環境社会影響を監視する日本のNGOのネットワークや、企業の人権配慮を高める活動を行うグループと共有、情報発信を行い、企業への注意喚起につなげていく。


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グループ名
代表者名
福島老朽原発を考える会(フクロウの会)
青木 一政さん
応募金額 50万円
テ ー マ 放射性ごみ「リサイクル計画」の実態調査と環境汚染監視
概  要

 福島原発事故により発生した除染廃棄物、放射能を含む焼却灰、農林業系汚染廃棄物等、いわゆる放射性ごみの「リサイクル計画」ともいうべき事態が進んでいる。この計画の主要な施設として一般ごみ焼却炉、セシウム回収型焼却炉、木質バイオマス発電がある。
 事故直後から、福島県を中心に広い範囲で放射能に汚染した一般ごみ、除染廃棄物等は一般焼却炉で焼却されている。また現在計画が進められているのがセシウム回収型焼却炉である。これは焼却炉で回収された、セシウム等の放射能を含む飛灰を、高温で熱処理してセシウムを気化させ回収するものである。この処理による生成物を建設資材に使うという計画である。また、電力固定価格買取制度の下で木質バイオマス発電が急増している。問題はこの木質バイオマス発電が東日本の放射能汚染林の間伐材、木材などを燃料につかう動きがあることである。
 これらの設備の飛灰回収には共通してバグフィルターが使用されている。しかし、バグフィルターはPM2・5(微小粒子状物質)の捕捉能力は無く、微小粒子状飛灰の拡散による環境汚染懸念がある。
 これらのような放射性ごみ「リサイクル計画」の全体像、設備能力面での実態調査と問題点の抽出、周辺環境汚染監視を行う。


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グループ名
代表者名
行動する市民科学者の会・北海道(略称 ハカセ)
斉藤 海三郎さん
応募金額 35万円
テ ー マ 北海道の原発と地層処分問題の科学的検討
概  要

1.北海道電力は泊原発敷地内にあるF-1断層が変位させている地層を「岩内層」と呼び、岩内台地の「岩内層」と同じく120万〜60万年前に連続的に堆積した地層と主張してきましたが、我々の調査により、これは中期・後期更新世の3回の海進にともなう別々の地層であることが明らかになりました。また、これにより、F−1断層は、40万年前以降に活動した「活断層」であることが証明されました。
 今年度は、それぞれ12.5万年前、22万年前、33万年前の地層であることを明らかにした「岩内層」について、さらに、北電による多数のボーリングと海底の音波探査資料を用いて、原発敷地および周辺が後期更新世(とくに12.5万年前以降)に安定した地域ではなかったことを実証したいと思います。原発の安全審査においては、つねにそこがもっとも重要なポイントになるからです。

2.高レベル核廃棄物の地層処分に関する取り組みは、これまで上記課題の緊急性と重要性に鑑み、不十分なままに終わっています。昨年NUMOが、「科学的特性マップ」として提示しました。そこで、本研究では、北海道のなかでも、とくに候補地として議論されている厚岸周辺や幌延地域を重点的に取り上げ、地球科学的な観点から、海外での地層処分の候補地や不適地とされた地域と比較し、活発な変動帯にある北海道の地形地質学的な特質を明らかにし、地層処分の困難性を明らかにしたいと考えています。


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グループ名
代表者名
新外交イニシアティブ
猿田 佐世さん
応募金額 50万円
テ ー マ 満期を迎える日米原子力協定に関して、米国ステークホルダーの動向を探る
概  要

 日米原子力協定に関わる事項について、米国側の各関係者・関係機関の過去および現在の動向について調査研究を行なう。
 日本は日米原子力協定に基づき、使用済み核燃料の再処理を認められている数少ない国の一つであるが、日本政府が六ヶ所再処理工場の稼働を急ぐ一方で、米国をはじめとした諸外国では、核不拡散の観点から、日本のプルトニウム保有、ひいてはそれを許す日米原子力協定の在り方を危惧する声も挙がっている。
 本調査研究では、同協定を軸に据えながら、同協定や日本のプルトニウム蓄積に対する政府関係者、関連機関や専門家の見解、米国が日本以外の国と締結している二国間原子力平和利用協定(通称123協定)の締結・米国内の議論状況や、これらの協定についての(たとえば米韓原子力協定)各議員個人の見解・投票実態等について、米国内の文献や、米議会議事録、国内外の専門家及び政府関係者へのインタビュー等を通じて情報を収集・分析する。
 短期的には、2018年に満期を迎え、同年1月以降、日米双方から異議が唱えられるようになる同協定について、米議会関係者への働きかけや日本国内での政策形成を試みる日本の各団体や関係者への情報提供を目的とした調査を行う。
 長期的には,協定を巡る議論や使用済み核燃料の問題点を明るみに出すことによって、国内外における脱原発・脱再処理派の連携を促すことができるような情報提供に資する調査を行う。団体は、米国へのロビーイング等の手段を通じて日米原子力協定に関しての政策形成を行うことを目指す活動を行っており、本調査研究はその活動にも生かされる。それにとどまらず、本調査研究は,日本における使用済み核燃料・再処理の問題を白日の下に晒すものであり、脱原発・脱再処理の運動に資することになる。


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グループ名
代表者名
FoE Japan
深草 亜悠美さん
応募金額 100万円
テ ー マ 再生可能エネルギーの開発における環境社会影響の調査研究
概  要

 東電福島第一原発事故を契機とし、脱原発やエネルギーシフトの機運の高まりを受け、再生可能エネルギーの市場活性化が進み、日本においてようやく再生可能エネルギーの普及が始まりました。
 一方で、FIT法施行以降、様々な業界が太陽光発電などに参入、投資し、発電所事業が急増すると同時に、発電所開発による環境破壊や地域の混乱が各地で顕在化しています。山林を伐採して急斜面に太陽光パネルを設置する発電所、水源地や貴重な生物の生息地での開発、人家に迫り眺望を遮る発電所など、問題となる事業が後を絶ちません。これらは、個別事業ごとの問題もありますが、無秩序に電源開発が進められてきた弊害であるとも考えられます。
 本申請事業では、再生可能エネルギー事業による環境社会影響に関する事例収集により問題の背景、利害関係者の懸念や主張、対策等を整理し、ケーススタディからの学びを得ると共に、再生可能エネルギーの普及における構造的な問題、課題を明らかにしていきます。
 また、本問題に関心をもつ市民や事業者による議論を通じて、望ましい再生可能エネルギーの在り方、合意形成の方法に関しても研究していきます。


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グループ名
代表者名
グローバル・フードシステムを考える市民グループ
舩田クラーセン さやかさん
応募金額 100万円
テ ー マ 「食産業の海外展開等によるフードバリューチェーン」政策の「途上国」への環境・社会影響
概  要

 2014年6月、農水省は「グローバルフードバリューチェーン戦略」を策定し、「オールジャパン」の「食産業の海外展開」に取り組んでいる。「食料の生産から流通・消費」までの全行程における日本の産官学の関与を通じて、「(1)食産業の海外展開と成長、(2)民間投資と経済協力との連携による途上国の経済成長、(3)食のインフラ輸出と日本食品の輸出環境の整備を推進」し、海外売上高の倍増(約5兆円)を目指すという。アジア・中南米・アフリカなど所謂「開発途上国」が主たるターゲットとなっている。
 一見問題のない計画にみえるが、この「戦略」は、現在世界で進行する「食料をめぐる覇権争い」-国境をまたぐ「新たな囲い込み」ともいうべき動き-に日本が積極的に加わろうとするものである。「食」を一人ひとりの命の源としてではなく、鉱物資源と同様の「企業利益を生み出す産業資源」として扱う政策の加速化は、生産地や輸送ルート地域にネガティブな環境・社会的影響をもたらす結果となっている
 この「新たな囲い込み」には、当事者団体などから批判の声があがり、オルタナティブとしての「アグロエコロジー」「食料主権」などへの転換が呼びかけられ、実践も積み重ねられている。しかし、世界中で食と農の分野への日本の官民アクターの関与が強まっているにもかかわらず、これを監視し政策転換を促す日本国内の研究・市民活動は活発ではない。また、日本には、この分野で中南米やアフリカに関わる団体も少なく、現場での影響の把握、政策への還元ができないまま現在に至る。
 以上を踏まえ、本研究では、市民の立場から、(A)日本の政策と世界的動向の把握、(B)日本の官民による環境社会影響の世界マッピング、(C)南米での影響とオルタナティブに関する調査を行い、(D)その成果を日本社会に還元するとともに、(E)新たな対象とされているアフリカのパートナーにも成果を還元することで、(F)日本内外の政策転換に繋げていく


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グループ名
代表者名
みんなのデータサイト
小山 貴弓さん
応募金額 50万円
テ ー マ 土壌および食品の放射能汚染データベースの解析と活用U
概  要

 2017年度に2ヶ年計画の1年目で、チェルノブイリ法と日本の汚染区分を比較した一覧の作成、WEB全面リニューアル公開、都県別・紙マップの作成、ジビエや野生きのこの食品汚染と土壌汚染との関係性を調査した重点地区ワークショップを実施した。またマイクロホットスポットの測定を行なう「環境濃縮ベクレル測定プロジェクト」の測定データを公開した。
 2年目の2018年度前期では、マップ集・アトラス版を8月までにつくることを大きな柱とする。測定結果と地形(高い山や川)や気象(雨や雪)を重ねて考慮し、プルームの動きの推定や、食品汚染による内部被曝を極力回避する指針を作成するための各種調査・探索を行なう。
 後期では、出来上がったマップ集を携えて、8月に渡仏。新たに海外の反核反原発グループにデータと活動内容を伝え、日本の規制値や報道状況を知らせることを目標としていく。日本国内では測定室と連携し、アトラス版の内容を解説・販売する報告会(避難者には無料で配布)を各地で実施していく。
 11月には、参加測定室による測定室研修会を実施し、みんなのデータサイト(以下、データサイト)の食品および土壌データ、厚労省食品データの掛け合わせ解析について討議・学習を行なう。測定室メンバーが自分の都県の解析について解説が出来る「市民科学者」となるための、育成の場として活用する。
 また、引き続き重点地区ワークショップを2ヶ所で実施する。


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グループ名
代表者名
原子力規制を監視する市民の会
阪上 武さん
応募金額 50万円
テ ー マ 原子力発電所の再稼働判断における周辺住民(30キロ圏)の意思の反映についての調査研究〜東海第二原子力発電所を例に
概  要

 脱原発を求める世論は根強く、世論調査でもほぼ6から7割で、脱原発を求める声が多数を占める状況が続いている。しかし、福島第一原発事故後においても、原発再稼働の判断でそうした世論が反映されたとは言い難い。
 その原因として考えられるのが、安全上の諸問題についての問題点が周辺住民に対し、十分に説明されておらず、原子力規制委員会による許認可によってよしとされてしまっていること、避難計画が審査対象になっていないこと、そして、再稼働に際しての地元合意が、立地県と立地市町村の首長の判断に限られる点が挙げられる。
 こうした中で、首都圏唯一の原発で、2018年11月に運転期限の40年を迎える東海第二原子力発電所について、運営する日本原子力発電(原電)は、再稼働に際しては、立地する東海村だけでなく、周辺30キロ圏内の5市の同意をとる方針を示した。実現すれば非常に画期的なことである。報道されている新協定案には、事前協議について「6市村それぞれが納得するまでとことん協議を継続する」との文言があるという。事前了解については「事前了解は規定されていないが、事前協議により実質的に担保されている」との文言があるという。
 東海第二原発の審査は、原子炉設置許可についての審査がほぼ終わり、年明けにも許可の手続きがとられる予定でいる。来年11月の期限に向けて、工事計画認可と運転期間延長認可に係る審査が行われる。審査の過程で、防潮堤の地盤問題、新たな代替冷却装置の設置に係る問題、高濃度汚染水対策、基準地震動評価の問題、火山灰評価と対策の有効性等々などさまざまな問題が指摘されている。これに老朽化による影響が加わる。さらに、唯一首都圏にある原発で、30キロ圏に日本最大規模の96万人が居住する状況で、避難計画の有効性や安定ヨウ素剤の配布問題などの課題もある。安全上の問題に限らず。原電が安全対策に必要とされる約1,700億円の借り入れに際して、東電と東北電の債務保証を受ける件や、廃炉に必要な解体引当金を取り崩して敦賀原発3・4号機の建設費に流用していたことなど、原発の運転を行う事業者としての適格性に係る問題も指摘されている。
 新潟県は、柏崎刈羽原子力発電所の再稼働判断に際し、原子力規制委員会の審査とは独立に、外部有識者を含めた検証委員会を設置し、県独自の検証作業を行うとしている。その中には、避難計画や安定ヨウ素剤の配布に係る検証も含まれている。茨城県は、東海第二原子力発電所の再稼働判断に際し、県の原子力安全対策委員会を通じ、独自の(安全性の)検証をすすめていくという。
 このような状況から、本研究では、東海第二原発の再稼働をめぐる論点を明らかにし、周辺住民や自治体関係者と情報の共有を図りながら、原発から30キロ圏の周辺住民の意思の反映がどのような形でどの程度なされるのか、調査研究を行うものである。


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