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「地震と原発」中間報告会

2007.7.15 武本和幸さんの報告

『地震・火山と原子力発電施設』

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 この地域は火山が問題になりますが、ここからは具体的な話にします。


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 これはそれぞれの場所です。六ヶ所の再処理は、20年前ごろは地質についても一定の議論がありました。しかしその後、反対運動に関わる人たちもほとんど追いかけていない中で、いろいろな問題が判ってきています。


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 今の基準では、地震を起こす断層としては、先ほど山口先生が言われていたように、宍道(しんじ)断層とか、ああいう類の断層です。出戸西方(でとせいほう)断層はここにあります。ここに横浜断層があります。ここに原発があります。

 この東通(ひがしどおり)原発の申請書にこのことは書いてある。ところが再処理工場の申請書には入っていない。それはなぜかというと、再処理工場の申請当時はここまで見なくて良かったからです。

 この断層の写真を撮ったのは何のことはない、私たちが申請書にこういうものがあるからと行けば見れるんではないかと3月3日に行ったら、見事のものがありました。


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 この写真です。

 大変な問題なんだなということで、私はほぼこのようなものだろう、とは思いましたので、最終的には、地元でよく歩いている地学の人に確認する必要があるなと思っていました。

 またそういう人たちは、皆、忙しいですから、昨年の夏から青森で地質のことがわかる人がいないかと探していたら、東北大学で地質学を専攻して、青森の高校で地学の先生を永らくやって、今は退職し、地元の遺跡の調査だとか廃棄物の反対運動に係わっている松山先生を知り、この人とこの地域を何回か歩きました。

 私は10年間くらいは定職についていないので、農閑期になれば体は空くものですから、高木基金がお金を出してくれて、現地へ7回行きました。

 最後に行った時のは5/14-16で、新潟大学の立石先生にも現地に来ていただきました。松山先生と3人で何箇所か見て、今後は地質を見られる専門家が詳細に調査しなければならないということで、あの人たちが、今月末ぐらいから時間調整として調査に入るというところまで繋ぐことが出来ました。

 このように、いろいろ問題があるということです。


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 次に、スケッチが東通原発に入っています。この地層がたわんでいます。この層は地下に入っています。この下に何枚も層が入っています。一番新しいのは13000年位前のものが切れていると書いてあります。こういうものを運動の側で問題にすることがありませんでした。

 これは再処理工場のすぐ近くです。これは現在も地形面がここで撓んでいます。高さにして4m位です。地表近くにそれが連続しています。この位置は再処理工場の場所がここです。ここが低レベル廃棄物の埋設処分場。ここらが濃縮工場です。距離にして1kmしかありません。


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 以前に議論になったのは大きな断層が二つあるということです。この落差は、100mを超えています。

 これが再処理工場の中です。ものすごい落差の断層が、再処理工場の中にあるということです。この地層が動いたら一緒に動くと思います。

 私は柏崎ではもう既に40年近くも、地元の崖という崖は見てきて、めぼしいところは地質の専門家に確認して、東京電力に投げかけてきました。しかし、崖を見ることのできる地質の人は少なく、青森でもあんまり調査されていません。


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 次は、埋設(低レベル放射性廃棄物埋設センター)のところにもこういう絵が載っています。これが埋設のところのホームページで見れます。100mクラスの断層があり、このうちのいくつかが新しく繰り返し動いています。こういう地質の上に下北半島の核施設が乗っているんです。


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 東通原発は再処理施設から25km北になります。

 原発は30km範囲を丁寧に調べて申請書に載せろとのルールがあります。そのために六ヶ所の近くの出戸西断層が出てきます。

 これは平面図です。平面的に断層がこんなに入っているのには驚きました。これを東京にある原子力情報公開センターみたいなものがあるんですが、上澤さんと一緒に行って、膨大なコピーをとって、その中にこのことがありました。


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 次を見てください。これが100mクラスの断層で、みんな100mクラスの断層でずたずたに切られています。さらにこれらが新しい時代の地層を切っています。こんなに断層があるのに原発を造るのは狂気の沙汰と思います。しかし、こういう議論がなされていません。


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 次は、東北電力の原発は既に動いています。

 そこから3km位北になるんですが、東京電力が今申請中で、工事の始まっている原発があります。これも見事な断層の上です。


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 松山先生は現地を見て、青森の我々が問題提起をしてこなかったことに、申し訳ないと言われ、このことを仲間に問題提起をし、調査団を作って、現地に係わることになりました。地質図を見れる人が見ればこんな場所に造っていいかというような場所です。


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 次の大間は、ここに熊谷さんの民有地があり、当初はここに原発を造る計画が今ここへ移りました。

 これも最初、ABWRの柏崎で起きていることを話せといわれて、函館に行った日が、志賀原発の判決の日でした。

 新潟で参議院議員になった近藤正道氏が、昔からの仲間で、柏崎の良寛さんの地の生まれの人なんですが、当日、質問予定だったのが、判決が出たので、急遽差し替えて、このことをやった方が良いという話をして、私はその時はまだこれを見ていませんでした。


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 あとで大間に向かったのですが、その時は大間のアセスメント申請書を見て驚きました。ある時期の溶岩が上ってきた記録で、こういう場所だったということです。


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 さて、冒頭に言ったことですが、工学は造るために屁理屈を考えるしかないんだと思います。

 地質学だとか、地震学だとかの理学部にあるような学科は真相を究めるための学問領域だが、工学というのは大概造るためのことしか言わないようです。それがためにいろいろなことが起きているんではないかと思います。

 金属の人はひび割れを問題にするが、機械の人は割れても大丈夫としか言わない。こういうことをずっと見てきました。


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 次は、対数目盛りで書いたのですが、地球は46億年、我々の一生は100年です。ところが埋設処分は10万年、プルトニウムの半減期は2万4000年だそうで、こういう中で1万年に1回ずつ巨大噴火があるものも原発立地の中では考えなければならないのではないかと考えています。


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 この図は、静岡大学教育学部の地形学の小山真人先生が作成されたものです。

 1万年に1回巨大噴火があるというようなことを書いています。

 私は、こういうスケールでものを考えなければならないのではないかと言いたいために出しました。

(報告おわり)

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