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高木仁三郎市民科学基金
第20期(2021年度)国内枠調査研究助成
書類選考通過者の調査研究計画概要(受付番号順)


(下記は、それぞれの応募者の助成申込書から概要のみを転載したものです。)

応募者名 徳田 安春さん 応募金額 100万円
テ ー マ 沖縄県における肥満と血中の残留性有機汚染物質perfluoroalkyl substances (PFAS)濃度の
関連調査
概  要

 PFOS、PFOA、PFNAなどのPerfluoroalkyl substances (PFAS)への曝露と肥満、糖尿病、非アルコール性脂肪肝炎の発症との関連性を示す研究はいくつかある。このように健康に有害である可能性が示唆されているPFAS曝露が日本人においてすでに広がっているが、肥満と血中PFAS濃度の関連について日本人成人を対象にした研究はまだない。市民にとって重要な飲料水に含まれる残留性環境汚染物質であり、健康影響を調べることは大切である。すでに病気を発症している人々においてこの物質の関与を調査することで、直ちに曝露を減らすなどの予防対策をとる必要性が判明する。横断研究によって、肥満、糖尿病、非アルコール性脂肪肝炎を有する患者群と非患者群の血液を採血する。肥満、糖尿病、非アルコール性脂肪肝炎に関連する身体所見データや定期検体検査や画像検査のデータも合わせて収集する。血中PFAS濃度は京都大学の共同研究者の施設において測定される予定である。多変量線形回帰モデル分析を行い、PFAS血中濃度と肥満、糖尿病、非アルコール性脂肪肝炎やそれらのバイオマーカーとの関連を解析する。PFAS血中濃度と肥満、糖尿病、非アルコール性脂肪肝炎などの生活習慣病の存在との関連を認めた際には、PFAS曝露を最小限にするための政策介入を行うように自治体へ働きかけを行うエビデンスとして研究結果を活用する。


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グループ名
代表者名
あびらの自然を守る会
内藤 圭子さん
応募金額 100万円
テ ー マ 北海道庁が許可した産業廃棄物処分場計画の許可プロセスの見直しと地域環境リスク評価に関する
調査研究
概  要

 2020年11月に行われた住民説明会で、民間業者による北海道安平町での産業廃棄物処分場の建設計画が明らかになりました。しかもこの計画は関係地域住民への事前説明もないまま、すでに北海道庁は平成29年に設置許可を出していることが判明しました。地元安平町及び関係地域住民の同意がないまま計画が進められていることや、そもそも計画予定地の取得から許可に至るまでの一連のプロセスが不透明であること、また、この計画には以下のような様々な問題点がある他、環境影響リスク、情報公開や計画への住民参画手続の合法性など多岐にわたる疑問があるため、一連の許可プロセスの検証及び計画が進められた場合の地域環境リスク評価について明らかにしたい。
  <計画の見直しを求めるポイント>
・処分場の周辺には100軒近くの民家があり、水道未設置地域のため、飲料水(地下水)への影響が懸念される。
・浸出水処理後の排水を流す河川にはヒメマスが住んでおり、また農業用水としても利用がされているため、これらへの影響が懸念される。
・2018年胆振東部地震の震源から15kmの距離にあり、地盤面での懸念材料がある。
・周辺地域住民に対する説明がされないまま北海道庁への申請が行われ、「合法である」との理由で許可が出されている。なお、許可を取得した企業は買収され、買収先の企業が計画を進行している。
以上のことから、安平町は独自に予定地の環境リスク調査(地盤、河川、交通量など)を行い、結果を一般に公表する。さらに町民と産業廃棄物処分場計画の検証を行い、設置許可の取り消しに向けて住民運動を行う。
 また、この問題をこの町の未来ビジョンなどについても話し合うきっかけとし、未来に「負の遺産」を残さず、「いのちと絆」のバトンを渡せるよう活動したい。


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グループ名
代表者名
市民科学研究室
上田 昌文さん
応募金額 96万円
テ ー マ 外環道大深度工事で発生した振動・騒音・低周波音による被害の実態把握とそれへの対策に関する調査
概  要

 2020年10月18日に調布市で起こった、外環道トンネル工事に伴って発生した陥没事故では、周辺地域住民の間に「陥没」にとどまらない様々な被害が生じている。利害調整を図ることも同意を得る必要もないという「大深度法」に守られた工事であるために、この工事が、どのような事前調査のもとにどう判断して行われたのか、なぜ振動・騒音・低周波音、陥没・空洞、建物被害が生じたのか、十分な情報開示と説明が事業者からいまだになされていない。被害地の住民は不安と苦痛を感じながらの生活を強いられている。問題解決に向けて、複数の住民グループが活発な運動を続けているが、事業者とは独立した、工事の工法、地盤、振動や騒音、建築など多分野の専門家の本格的な協力が不可欠であるにもかかわらず、それが実現していない。
 本調査は、そうした専門家らの協力体制を築いていくことを念頭に、振動・騒音・低周波音の問題に焦点をあてる。被害者住民の側に立って、その被害の実態を正確に詳細に把握し、そのことをふまえて原因究明と問題解決のための科学的証拠をできるだけ素早く提示することを目指す。


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グループ名
代表者名
原発報道・検証室
添田 孝史さん
応募金額 40万円
テ ー マ 東電原発事故の裁判資料や政府事故調資料の公開データベース整備拡充
概  要

 本調査研究では、東京電力福島第一原発事故を巡る裁判や、政府事故調が保有する資料を収集した公開データベースを立ち上げ、整理作業を続ける。
 事故の原因や被害については、政府や国会の事故調が2012年に報告書をまとめたが、まだ未解明なことが多く残されている。現在、事故検証の場は、住民らによる損害賠償請求(集団訴訟だけで約30)や株主代表訴訟、刑事裁判などの法廷に移っている。裁判で提出された文書や、判決文などは、事故の実態を明らかにしたり、どのように検証されてきたかをたどったりする上で、重要な資料となる。
 しかしこれら資料は、各裁判の原告らが一部公開しているのみで、網羅的に収集整理している機関はなく、今後も保存や活用できるのか、心配されている。そこで、原告や被告の国・東電が提出した専門家の意見書、被害者らの陳述書面、準備書面や、裁判所の判決要旨、判決文などを収集整理し、公開データベースを作る。
 政府事故調が収集した資料(約2千タイトル)についても、目録のみが2018年12月に開示されたが、文書本体はまだ未公開のままである。これらについても、保存年限が限られている文書があるため、急いで集めておく必要がある。
 これらの裁判資料、政府事故調資料のデータベースを誰でも無料で使える形で公開し、裁判を起こしている住民や弁護士のほか、ジャーナリスト、研究者に利用してもらうことで、東電福島事故の実相により深く解き明かすことが期待できる。


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グループ名
代表者名
大浦湾海底生物調査会
馬渕 一誠さん
応募金額 100万円
テ ー マ 沖縄県名護市大浦湾の海底生物調査
概  要

 日本政府/沖縄防衛局は沖縄県名護市辺野古に米軍新基地の建設を行っており、2019年12月から辺野古岬の南側の浅海域予定地に土砂を投入している。今後は辺野古岬の北側すなわち大浦湾西側沿岸近くの海底を埋め立てる計画である(全埋め立て面積約160haの3/4)。
 大浦湾の生物調査はこれまで沖縄防衛局、日本自然保護協会、ダイビングチームすなっくスナフキン等によって1997, 2007-2015年に行われている。その結果、大浦湾は262種の絶滅危惧種を含む5300種の生物が生息する豊かな海域であることがわかった。この事実は世界でも認められ、2019年にS. Earle博士主催のNGO"Mission Blue"は日本で唯一のHope Spotとして認定した。しかしこれらの生物は、埋め立て海域においては死滅し、それ以外の部分においても工事による汚染によって大きな影響を受ける。基地の完成後も排水などによる湾内汚染は恒久的に続くだろう。
 上記の調査はいずれも湾の水深30m付近までのものであるが、大浦湾の埋め立て予定海域にはそれ以上の深度の部分があってそこにどんな生物が棲息しているかは未知である。特に2016年に深さ90mに達する軟弱地盤が確認された。
 このため沖縄防衛局は埋め立て計画の変更を余儀なくされた(現在沖縄県に対し変更申請中)。しかしこの変更に伴った環境アセスメントは行われていない。従って湾の深部の生物群は未知のまま埋め立てられることになるという乱暴な計画なのである。そこで私たちは埋め立て予定海域の30m以下の海底の生物層を調査研究する計画を立てた。この調査研究により海底生物群の保全を訴えたい。


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グループ名
代表者名
えねみら・とっとり(エネルギーの未来を考える会)
山中 幸子さん・手塚 智子さん
応募金額 92万円
テ ー マ 島根原発稼働の是非判断への周辺地域住民の参画促進(公論形成)に関する調査研究
概  要

 米子市、境港市、鳥取県は、島根原発から30km圏に位置し、避難計画の策定を義務づけられているが、"周辺地域"であり、原発稼働の判断に際し、同意権(拒否権)を持っていない。
 こうした背景のなか、以下の問題がある。
・島根原発のリスクや事故影響が主体的に検証されていない。
・原子力災害時の避難計画は矛盾が多く、さらにコロナ禍に際して問題が山積である。
・自治体が原発稼働に関し意見を求められる際、議会等で丁寧な議論が行われず、首長や議員、中国電力も住民との対話の場を設ける姿勢をもっていない。
・原発稼働の是非は、命と暮らし、地域の未来に重要な影響を与えるが、住民の間で自分ごととして捉えられにくく、熟議の場がないまま地元同意が行われる可能性がある。
 そこで、
@"周辺地域"の原発事故時の影響と、避難計画の現状と課題を生活者の目線で明らかにし、
A根拠のある情報を可視化して共有し(影響を知り)、
B住民ひとりひとりが、未来の選択として原発稼働の是非を判断する機会・場を創出することを狙い、下記の調査と情報の提供を行う。

1.原発災害時の避難に関する調査
(1)障害者及び高齢者福祉施設 (米子市・境港市内)
(2)安定ヨウ素剤の自主配布会:妊産婦・乳幼児を主に
(3)避難の受け入れ先8自治体(鳥取県中東部)
2.島根原発事故時の被害予測と可視化
3.議員・首長(米子市、境港市、鳥取県)アンケート
4.情報発信・提供と対話の場づくり


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グループ名
代表者名
福島老朽原発を考える会(フクロウの会)
青木 一政さん
応募金額 50万円
テ ー マ 放射能ごみ焼却炉周辺住民の尿検査による内部被ばく調査
概  要

 宮城県大崎市においては2020年度より農林業系放射能汚染廃棄物(汚染稲わら、汚染牧草など)の一斉焼却が開始された。この焼却は大崎市内3か所の一般ごみ焼却施設において一般ごみとの混焼により7年間継続する。焼却施設周辺の住民を中心に焼却炉からのセシウム等放射能を含む微小粒子の拡散の懸念と不安が強い。住民は2020年に大崎市を被告として公金支出停止の裁判を提訴した。
 2018-2019年の試験焼却時に我々が実施したリネン吸着法による監視においては風下方向にセシウム粉じん濃度の高い場所が発見され、しかも季節による風向の変化に対応してこの最大濃度地点も変化した。このことは焼却炉からセシウムを含む微小粉塵漏れがあることを強く示唆している。この試験焼却時の最大濃度地点のリネン吸着データは南相馬市原町区のデータとほぼ同等レベルである。
 我々は南相馬市原町区在住の南相馬避難20ミリ基準撤回裁判原告を対象に2017〜2020年にかけて尿検査による内部被ばく実態を明らかにしてきた。その中で低レベルではあるが慢性的にセシウムを取り込んでいる例が多数あり、大気中粉じんの吸入によるセシウム摂取の可能性が疑われている。
 そこで、大崎市焼却施設周辺の住民の尿検査により、これら風下地域の住民と比較対象地域の住民とで内部被ばくリスクに差があるかどうかを調査する。またその結果を南相馬20ミリ裁判原告の尿検査データやリネン吸着法データと比較することで、セシウムの摂取経路の差異や共通性などを明らかにする。


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グループ名
代表者名
いわき放射能市民測定室 たらちね
鈴木 薫さん
応募金額 50万円
テ ー マ たらちね海洋調査
 〜東京電力福島第一原発周辺海域における海水のトリチウム濃度の 測定と記録〜 (1)
概  要

 2021年4月13日、政府は関係閣僚等会議において、東京電力福島第一原発で発生し、ALPS等によって処理した上でタンクに貯蔵されている汚染水の海洋放出を決定した。
 海洋放出を問題視・不安視する市民は多いが、まったく除去ができないトリチウムを測定できる市民測定室は、たらちねを除いて国内には存在しない。また、当測定室は、2015年9月より、福島第一原発沖や福島県沿岸で、年2〜4回の海水および魚類の放射能調査を行ってきた。
 当測定室の理念からすれば、放射性物質の意図的な海洋放出そのものを許さないことが大前提である。安易な放出を許さないためにも、また、万が一放出された場合においても、市民のための市民の科学として、東京電力のシミュレーションや政府側の安全性の主張に対して、科学的データを持って立ち向かい、監視していく必要がある。
 海洋放出については、原子力規制委員会の認可などを経て、2年後を目処に開始するとされている。仮に予定通り海洋放出が開始されてしまった場合、放出前のバックグラウンドを測定できるのは、この2年間に限られる。国や東電の計画通り進んでしまえば、その後の測定は、海洋放出中の経過観察のためとなり、最終的な結果を知ることができるのは、すべての放出が済んだ40年以上後のことになる。
 以上を踏まえ、海洋放出を推進・容認する東京電力・政府・県などから独立した測定機関として、少なくとも2年間、各定点で海水の自由水型トリチウムのバックグラウンド調査を行う。
■ 年に4回、用船をして、第一原発沖1.5kmの定点において、表層および低層(バンドーン式採水器による)の採水を行い、電解濃縮の上で、液体シンチレーションカウンターによる自由水トリチウムの測定を行う。
■ 沖合調査に準じて、年4回、福島県沿岸の漁港および沿岸の、少なくとも南北各3定点、計6定点で採水を行い、電解濃縮の上で、液体シンチレーションカウンターによる自由水トリチウムの測定を行う。


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グループ名
代表者名
太平洋核被災支援センター
M田 郁夫さん
応募金額 50万円
テ ー マ 太平洋核実験による放射線被災実態を解明し,被災船員救済のための研究をすすめる。
―国内外の研究者との協力によるビキニ事件の情報開示,解説資料普及の取り組みー
概  要

 「ビキニ水爆実験による第五福竜丸以外のマグロ船と貨物船などの被災の実態と乗組員の健康状態追跡調査」にこれまで取り組んできた。核兵器禁止条約批准を視野に入れたビキニ事件の歴史的検証が重要になっている。
 ビキニ水爆実験による被災船員は高齢化とともに健康を害し,癌の発生率が高まり,「死の灰」を受けた被災船の船員の3 分の2 以上がすでに死亡している。高知県や広島大学などの研究者,医師の協力をえて,被災漁船員と同世代の男性の病歴,死亡原因調査を実施したい。
 今年度は,高知県と国内外の研究者と協力して,ビキニ被災船員追跡調査,ビキニ事件の情報開示,資料集の普及を進める。
 そして国連人権規約委員会へビキニ被災者救済を訴え,核兵器禁止条約第6条による核実験被災者救済の先進地域である高知県への調査を呼びかける。


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グループ名
代表者名
たまあじさいの会
下向 辰法さん・古澤 省吾さん
応募金額 50万円
テ ー マ 田村バイオマス発電所の稼働開始による周辺への放射性物質汚染の計測とその記録結果の拡散
概  要

 福島県田村市に建設されたバイオマス発電所は、『自然との調和、地域住民との共生を基調として、環境負荷の低減を前提とした資源循環型社会への貢献を目指す』としているが、地元住民は、放射能汚染木を燃やすことにより周辺への放射能拡散を懸念し、2016年9月には『大越町の環境を守る会』を立ち上げ、『放射能ゴミ焼却を考えるふくしま連絡会』も反対運動や提訴をしてきた。しかしそれを踏みにじって本年3月に試験操業が始まったところである。田村市は市のHPにて、『発電施設についても、通常使用されるバグフィルタと呼ばれる集塵装置に加え、安心対策として高性能のHEPAフィルタも設置することになりました。燃料から排気、焼却灰、排水に至るまで、周辺に放射能の影響が出ることはありません。』と明言しているが、これまでの、住民との対応の経緯を見ても甚だ疑わしい。彼らを信用して、安心することは到底出来ない。本調査の目的は、同発電所の操業に起因する放射性物質の汚染の進行がないかを、住民と協力して、執拗にフィールドワークでの観測を行う。Hot Spot Finder にて経時的にMap上に記録し、また同時に定点観測を行うことで、汚染の実態を科学的、客観的に記録し、検証して動かぬ証拠を築き上げる。


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グループ名
代表者名
原子力資料情報室
伴 英幸さん
応募金額 100万円
テ ー マ 日本の核のゴミの海外輸出
概  要

 日本原子力研究開発機構(JAEA)の東濃地科学センター(岐阜県)と人形峠環境技術センター(岡山県)にある、主に外国産のウランとウランを吸着させたイオン交換樹脂や活性炭、処理固化物等、計120トンの放射性物質を米ユタ州のホワイトメサ製錬所(エナジー・フューエルズ社)への輸送が計画されている。JAEAは2005年にも人形峠の約500トンのウラン残土等をホワイトメサ製錬所に輸送している。
 ホワイトメサ製錬所は、現在米国で稼働している唯一のウラン製錬所であるが、ユート・マウンテン・ユート先住民のホワイトメサ保留地が隣接しており、精錬所からの放射性物質等の被害に悩まされてきた。
 バーゼル条約および外為法に基づき、放射性廃棄物の海外輸送は原則禁止されているが、2005年の輸送では、JAEAはウラン残土を資源だと称して、処理費を支払った。今回の輸送でも放射性物質を資源と称して処理費を支払うことにしている。だが、輸送したウラン残土から作られた製品は日本に戻されることはなく、処理後にでた放射性廃棄物は現地で廃棄されている。今回の輸送でも同様の取り扱いとなる見込みだ。前回、今回と輸送を認めていくと、なし崩し的に他のウラン廃棄物の海外輸出が行われかねない。
 ホワイトメサ製錬所やホワイトメサ保留地他、現地の状況を調査し、被害の状況を明らかにする。また日米の市民の連携を強化し、ウラン廃棄物輸送の阻止にむけた動きを作る。


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応募者名 菊川 裕幸さん 応募金額 28万円
テ ー マ 兵庫県丹波篠山市における竹資源量の調査と竹の有効活用法の検証(地域における竹資源循環の試み)
概  要

 本調査は、西日本を中心に拡大している「放置竹林」問題に焦点をあてている。放置竹林や竹林の有効活用法については数多くの先行研究があるが、研究対象がある市町村の中でも特定のエリアのみの限られた一部であることが多い。また竹資源の利用に関しても、農業利用法等の先行研究がみられるが、他の資材と混和した堆肥の使用や、使用している竹の年数が不明であるなど、エビデンスレベルが低く、実用化にはつながっていない事例が多数である。
 また、森林については整備による補助事業が数多くみられるが、竹林整備に補助金を出す自治体はまれであり、そのため地域での竹林整備は進んでおらず、地域の自発的な活動に委ねられている場合が多い。
 そこで、本研究では、兵庫県の丹波篠山市をフィールドとし、竹資源の地域単位での循環(活用)を目指して、竹林の種類や状況の現地調査に加えて、資源量の推定のための竹林調査を実施する。これによって、丹波篠山市内にある竹林の様々なタイプを明確にし、用途に応じた、緊急性の高い竹林からの整備などの情報を市民や行政と共有する。さらに資源量を推定し、伐採後の竹チップを農業に有効利用できることをきちんと示し、竹林整備マニュアル等を作成することで、竹林整備の機運の醸成→竹林整備の実施→伐採後の竹林の農業利用→適切な資源管理→放置竹林による諸問題の解決を目指したい。


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応募者名 坂井 華海さん 応募金額 29万円
テ ー マ 民間による国際協力の可能性 −元駐ラオス特命全権大使を中心とした
「ラオス遠隔地高校生就学支援事業」の検証
概  要

 本研究は、民間による国際協力の可能性について、元駐ラオス特命全権大使・坂井弘臣氏が発起人となって2000年に開始した「ラオス遠隔地高校生就学支援事業」(以下、支援事業)を検証することによって明らかにする。支援事業は、一貫して顔の見える支援にこだわって実施されており、これまでに500人を超えるラオスの子どもたちが高等教育を受ける機会を得てきた。
 後発開発途上国の一つであるラオスにおいては、様々な国や地域、組織や個人による、多岐にわたる支援は当たり前の風景とも言える。一方、支援事業の被支援者の中には、「自分たち(ラオス人)で次の世代を育てることができるような仕組み作りを考えなければならない」と考え、行動を始めようとしている人たちも出てきた。即ち被支援者からの脱却である。
 しかし、多くの事業は比較的短期的な視野で、数字による成果ばかりが求められる。そこで、申請者は、支援事業関係者の思考や関係性の変化こそ国際協力(事業)の成果であると仮説を立て、支援関係者及び被支援者に対してアンケートとインタビュー調査を実施する。被支援者たちが目指そうとしている自国の姿と国際協力の実態を丁寧に検証することによって、数値目標のみに限定されない新たな評価指標を模索する。
 本研究は、国際協力や開発支援のあり方(成果の捉え方や持続可能性、自立性)について、様々な立場の人びとに問題提起、再考を促すテーマである。


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