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高木仁三郎市民科学基金
第21期(2022年度)国内枠調査研究助成
書類選考通過者の調査研究計画概要(受付番号順)


(下記は、それぞれの応募者の助成申込書から概要のみを転載したものです。)

応募者名 山室 真澄さん 応募金額 100万円
テ ー マ 水道水のネオニコチノイド濃度の全国調査
概  要

 欧米では人の脳への影響などから使用が禁止・制限されているネオニコチノイド系殺虫剤(以下、ネオニコ)は、日本では逆に規制が緩和されている。
 日本はかつて人口あたり胆嚢癌発生率が世界一高く、その原因が塩素処理で分解しない水田用除草剤CNPが水道水に混入した為であることが指摘されて失効するまで、30年以上も使用されてきた。ネオニコもCNP同様、浄水場での塩素消毒では分解しない。相模川を水源とする水道水のネオニコを分析した報告によると、田植え後に降雨があった日の濃度が高くなっていた。申請者が霞ヶ浦のネオニコ濃度を分析した結果でも、田植え直後の時期に高濃度だった。流域に水田が多い地帯やネオニコ耐性をつけた害虫が飛来する西日本では、相模川や霞ヶ浦より高濃度の可能性がある。
 そこでネオニコの高濃度の混入が推定される12箇所の平野下流部水道水について5〜8月の4ヶ月間、毎月の採水を行い分析する。高木基金に採択された場合、上記12箇所のうち高濃度だった箇所での継続調査に加え、ネオニコ混入が疑われる地下水を水源にしている地域の水道水も分析する。
 尿からネオニコが検出される子供の脳はネオニコに汚染されていて、検出されるネオニコの種類と濃度の増加に応じて子供に起こる異変も増加する。かなり高濃度のネオニコが検出された場合は次年度以降、尿中ネオニコの濃度を分析し、尿中ネオニコ濃度と人健康被害との関係を論じた既報と比較する。


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グループ名
代表者名
R.I.La
尾崎 美佐子さん
応募金額 88万円
テ ー マ 多摩川源流域におけるマイクロプラスチック汚染調査
概  要

 多摩川の源流部である丹波山水系の源流部定点観測地点と源流部支流最上部において、渓流魚をマーカーとして河川のマイクロプラスチック汚染の状況を調査する。現在までの調査では、多摩川中流域、多摩川上流域、多摩川源流域と調査を実施してきたが、いずれも検体として採取した魚類からマイクロプラスチックの検出か見られた。調査前の情報では、河川のマイクロプラスチック汚染は、その原因が中流域に致するまず再処理センターからの排水に含有する家庭の洗濯排水内の化繊(プラスチック繊維)の剥がれによる繊維状のプラスチックであるとされていた。中流部の水再処理センター排水口下流域の調査では、学説通り検体として捕獲したオイカワ50匹中49匹からマイクロプラスチックの検出を見た。その結果を受けて翌年から水再処理センターよりも上流域並びに、魚の上下動が不可能な魚止めとしての小河内ダムの上流域において中流域と同様に魚類をマーカーとして調査をした結果、小河内ダムよりも上流に位置する丹波山水系においても、捕獲した全てのマーカーからマイクロプラスチックを検出する、という結果を得た。これは多摩川の源流部を含むすべての流域に水再処理センターの排水以外の汚染源を存在することを示唆している。また、検出されたマイクロプラスチックの形状、色、大きさなどから、当該汚染源が繊維状のプラスチックであり、上流に行く程汚染が強くなることなどから、山間部の道路工事や河川工事などで多く使用する土留めネットや土嚢などのプラスチック製品が汚染源として疑われる結果となった。そこで2022年度からは、丹波山水系の代表的地点を定点観測地点としての調査をすると共に、丹波山水系の支流の更に源流部の人工物の無いに立ち入り、調査を実施することで、2021年までに得られた推測を実証するための調査を実施するものとした。


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グループ名
代表者名
西舘 崇さん 応募金額 47万円
テ ー マ 使用済核燃料の中間貯蔵施を巡るむつ市政20年の展開と住民運動についての研究
概  要

 本研究は、使用済核燃料の中間貯蔵施設を巡る青森県むつ市政のあり方を住民側の立場から検討するものである。対象とする期間は、同施設の受け入れが表面化した2000年から現在までのおよそ20年間とする。
 むつ市は2003年に国内初となる使用済核燃料の中間貯蔵施設の受け入れを表明し、2005年には市と青森県、東京電力、日本原子力発電の四者間で「使用済燃料中間貯蔵施設に関する協定」を締結した。工事は2010年から開始され、貯蔵建屋1棟目は2014年に完成した。施設は未だ操業には至っていないが、市は2019年から核燃料税の導入を検討し始めた。
 そうした中、本研究は2000年より一貫して同施設の受け入れに反対を表明してきた市民団体「核の中間貯蔵施設はいらない!下北の会」(代表:野坂庸子。以後、下北の会と記す)に注目する。同団体は2000年に結成されて以降、むつ市政の原子力関連政策を注視し、様々な行動、抗議運動を展開してきた。本研究では、中間貯蔵施設に関わるむつ市政20年の推移を「下北の会」の立場から批判的に検証することを通して、施設受け入れの政治的プロセスを明らかにするとともに、下北の会の運動が内包する熟議民主主義的規準の具体像を浮き彫りにすることを試みる。
 なお本研究は、対象とする課題の構造的、複合的なつながりやその深さなどから、短期的な成果を求めるよりも、複数年にわたって継続して調査を行いたいと考えている。


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グループ名
代表者名
木質バイオマス発電チェック市民会議
川端 眞由美さん
応募金額 20万円
テ ー マ 長野県東信地域の放射能汚染木燃焼による環境汚染を監視する
概  要

 長野県東御市の中心市街地を望む河岸段丘上の工業団地に木質バイオマス発電所・信州ウッドパワー鰍ェ建設され、2020年7月15日稼働を開始した。 企業が30キロ圏内とする集材圏には福島原発事故で放射性物質が沈着した軽井沢周辺が含まれるが、市は汚染木の燃焼の危険性を認識せずに企業誘致を行い、市民に計画の説明を行わなかった。
 市民は自主学習を始め、放射性物質を含む木材を燃焼すれば焼却灰の放射能は200倍にも濃縮されることや、バグフィルターをすり抜けた微小粒子状物質に付着した放射能が肺の奥深くに吸い込まれて内部被ばくする可能性、大気の微小粒子は東御市を含む千曲川沿いの広域に流れること等を学んだ。
 ばい煙に含まれる放射性物質を市民の手で測定するリネン吸着法検査を学んだ市民は、企業と市を監視することで、予防原則に従い警告を発することができると考え、測定を始めた。
 市民が目に見える形で企業と市を監視しはじめたことで市と企業は対応を迫られた。市は工業団地の地元区の大気状態等検査を年1回実施して公表、企業が実施するとしていた搬入材と焼却灰の測定等は毎月市が企業に出向いて測定し「搬入木材及び焼却灰放射能濃度測定結果」を市のホームページで公開している。
 木質バイオマス発電所を無計画的に推奨するFIT制度によって全国で木質バイオマス発電所建設が進む中、福島県は燃焼による汚染木の減容化を計画している。放射能の再汚染、拡大が懸念される今、市民の手で放射能汚染を監視する。


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グループ名
代表者名
森里海を結ぶフォーラム
田中 克さん
応募金額 100万円
テ ー マ 絶滅危惧種ニホンウナギと共生する地域社会を拓く水生生物調査査
概  要

 森里海が密接につながった"宝の海"から、大規模環境改変の連鎖により、つながりが分断されて瀕死の海に至った有明海周辺では、海とともに生きてきた地域社会を崩壊に至らしめた。漁民はもとより、干拓地に入植した農民、諍いの町となった市民、誰も幸せにできなかった国営諫早湾干拓事業の検証が求められる。
 開門と非開門の対立が深刻化した状態から協働の未来への扉をどのように開けるかが大きく問われている。本調査研究では"ウナギの町"諫早市の未来を拓く鍵を握る存在は絶滅危惧種ニホンウナギと位置づけた。
 2022年3月25日に下された福岡高裁での差戻審における自然科学的知見の徹底した無視、国立大学の教員でさえ有明海問題はUntouchableな問題となってしまった既存の研究界の深刻な現実を見据え、既存の科学を超えた新たな流れを生み出すためには、現場の問題の解決を真に求める文系と理系の融合研究、それらに市民活動が連携する「超学際研究」、それを社会の側で支えて先導する市民科学の展開が求められる。
 諫早湾締め切りから四半世紀が経過し、時代は2030年までに自然と共生する方向へと大きく舵を切らなければ確かな未来はありえない大きな転換点期を迎えている。温暖化とともに二大地球環境問題のひとつとしての生物多様性の劣化は私たちの死活問題である。森里海のつながりに生かされるヒトとニホンウナギは同じ運命の"絶滅危惧種"であり、両者の協働の道を開く市民科学のモデル的展開「絶滅危惧種とともに拓く未来」構想の基礎となる諫早湾本明川での野外調査を行い、新たな市民の会を立ち上げ、閉塞した諫早の未来への扉を開く調査研究を提案する。
 諫早湾締め切りから四半世紀が経過し、時代は2030年までに自然と共生する方向へと大きく舵を切らなければ確かな未来はありえない大きな転換点期を迎えている。温暖化とともに二大地球環境問題のひとつとしての生物多様性の劣化は私たちの死活問題である。森里海のつながりに生かされるヒトとニホンウナギは同じ運命の"絶滅危惧種"であり、両者の協働の道を開く市民科学のモデル的展開「絶滅危惧種とともに拓く未来」構想の基礎となる諫早湾本明川での野外調査を行い、新たな市民の会を立ち上げ、閉塞した諫早の未来への扉を開く調査研究を提案する。


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グループ名
代表者名
沖縄京都PFAS 研究グループ
徳田 安春さん
応募金額 100万円
テ ー マ 沖縄県の人々における血中の残留性有機汚染物質 (PFAS)濃度と
SARS-CoV2 ワクチン中和抗体価との負の関連
概  要

 PFOS、PFOA、PFNAなどのPerfluoroalkyl substances (PFAS)への曝露と免疫機能低下との関連性を示す研究はいくつかある。PFAS曝露は日本人においてすでに広がっているが、免疫機能低下と血中PFAS濃度の関連について日本人を対象にした研究はまだない。PFASは地域住民の生活にとって重要な飲料水に含まれる残留性環境汚染物質であり、健康影響を調べることは大切である。中でも、新型コロナウイルス感染症は沖縄での感染拡大を何度も繰り返しており、この物質の関与を調査することで、直ちに曝露を減らすなどの予防対策をとる必要性が明らかになる。今回の研究は、昨年度に行った横断研究によって得られた採血検体を用いて、新型コロナウイルスワクチン接種後の中和抗体価の測定を行う。血中PFAS濃度は京都大学の共同研究者の施設において現在測定されている途中である。データについては、多変量線型回帰モデル分析を行い、交絡因子を調整した上で、PFAS血中濃度と中和抗体価との関連を解析する。PFAS血中濃度と免疫機能低下との関連を認めた際には、PFAS曝露を最小限にするための政策介入を行うよう自治体等へ働きかけを行うエビデンスとして研究結果を活用する。


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グループ名
代表者名
あびらの自然を守る会
内藤 圭子さん
応募金額 50万円
テ ー マ 北海道庁が許可した産業廃棄物処分場計画の許可プロセスの見直しと
地域環境リスク評価に関する調査研究
概  要

 2020.11.13の企業が開いた町民向けの説明会で近くに産業廃棄物処分場の計画がある事、北海道の許可がすでに出ていることを知り反対運動を始めました。
 議会に「産業廃棄物処分場計画」について検討してほしいと請願を出しましたが否決。関係地域に署名活動を行い議長と町長に提出しました。
 続いて北海道に情報開示請求をして廃棄物処理施設検討会の内容を調べて北海道に公開質問状を提出しました。さらに道議会議員や国会議員に働きかけ道議会や国会で取り上げてもらいました。
 これら外部への働きかけと同時に町内での学習会や話す会を開催し、その都度通信を発行し町民全体に共通理解が広がるように働きかけてきました。通信は現在8号まで発行。6月1日に9号発行予定。更に今後の環境変化の基礎データにするために2021年秋から季節ごとに河川の水質検査を始めました。
 これまでの活動から胆振東部地震が反対運動のポイントと考えるようになりました。北海道の許可が出た後に胆振東部地震が発生し町は2021年調査を実施しました。その結果地震で地盤が不安定になっていることなどから「災害時の被害の懸念や対応の難しさ」を理由に2021.11月に業者からの河川占有許可申請を不許可にしています。防災の観点から「事情変更の法理」の可能性を探り反対運動につなげたい。
 さらに設置許可に関わった北海道の廃棄物処理施設検討会の委員の皆さんに学習会講師を依頼し来町時に現地を見てもらい相互理解を深めたいと思います。
 2022.4月に行われた安平町議会議員選挙に「あびらの自然を守る会」代表の内藤圭子が1位当選。2位の方も反対派でここに町民の意思が現れた結果と感じています。自然豊かで安心して暮らせる安平町を次世代の子供たちに引き継ぐために今年もしっかり活動していきます。


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グループ名
代表者名
千葉 茂樹さん 応募金額 84万円
テ ー マ 福島第一原発事故による放射性物質の汚染−生活圏の汚染の調査と記録−
概  要

 申請者は、2011年3月の福島第一原発事故による福島県内の汚染状況を調査し、論文・学会機関紙・ネット配信ニュース・講演会で公表してきた。これらは、すべて自費で行ってきた。講演会以外は、こちらで閲覧できる。http://www.wattandedison.com/Chiba2.html
●調査するに至った経緯
 原発事故当時、申請者は「福島市渡利字岩崎町」に居住していた。申請者は居住地域の環境変化・自身の身体変化からその重大性を感知し、「この変化を記録せねばならない。」と考えた。申請者は火山地質学が専門分野で、放射線科学は専門外であった。このため、福島県立医科大学附属情報センターに通い、専門知識を身に着けた。さらに、当時品薄で高騰していた放射線測定器も、何とか入手した。詳しくはこちらhttp://www.geosociety.jp/faq/content0463.html「2.福島市渡利の汚染を体験して」
●研究内容
 申請者は、地質学の野外調査を基本に、原発事故の調査研究を行っている。具体的には、放射線測定器を携行し、野外を徒歩で調査している。すなわち、移動しながら「空間線量率」「地表の線量率」を測定し、「各地の線量率分布図」を作成している。さらに、「黒い土」・「楯状高放射線土」など、局部的に汚染が著しいものについても記載している。
◎継続調査地域:本宮市・蓬田岳
◎調査再開地域:高柴山
◎単発調査区域:福島市渡利・高松山・弁天山・小倉寺、二本松市中心部・南部、いわき市+古殿町+平田村の芝山


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グループ名
代表者名
外環振動・低周波音調査会
上田昌文さん
応募金額50万円
テ ー マ 外環道大深度工事で発生した振動・騒音・低周波音による
被害の実態把握とそれへの対策に関する調査
概  要

 2020年10月18日に調布市で起こった、東京外環道トンネル工事に伴う陥没事故を機に、周辺地域では被害と補償をめぐって、さらには今後の工事の継続をめぐって、事業者(国土交通省、NEXCO東日本、NEXCO中日本)が、これまでに住民が納得できる調査や情報提供を行ってこなかったことからくる様々な問題が噴出している。2021年の高木基金の助成を受けて、市民科学研究室が被害者住民らと共同で「外環振動・低周波音調査会」を立ち上げ、地盤・地質、振動・騒音、そして環境センシングの分野の専門家の協力を取り付けつつ、まず、振動・低周波音被害の実態調査を実施した。その結果をふまえて、シールドマシンによる掘進が進行・再開されているエリア(外環道の練馬エリア、横浜環状南線エリアなど)を含めて、地下工事から発生する振動を常時モニタリングする必要を痛感し、簡易な振動計(既存の振動加速度センサーのアプリケーションを改良して中古iPhoneに装備したもの)を、個々の住宅に設置して、Wi-Fiを用いてデータを自動記録するシステムを開発した。さらに、建物に生じた損壊について、事業者はトンネル直上とその周辺のみ限定して個別に補修するという対応しか行っていないが、これでは建物被害の全貌は把握できない。そこで調査会では4月から1件1件を巡りながらその損壊の状態を記録していく活動に着手した。今後、リニア中央新幹線を含めて大深度地下工事で発生する恐れのある、振動・低周波音に起因する種々の被害を防ぐためには、各エリアの住民が連携をとりつつ、事業者らにこうした調査を行わせるよう主導しなければならないが、本調査はその必要性と具体的手法を科学的データによって明示するものとなる。


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グループ名
代表者名
JVC南スーダンチーム
今井高樹さん
応募金額50万円
テ ー マ 南スーダンの石油施設による汚染の住民影響調査
概  要

 2011年に独立した南スーダンは中規模の産油国として国家財政の大半を原油収入に頼っている。原油の漏出や廃棄物の不適切な処理、内戦による施設の破壊や放棄が原因となり、大気、土壌、表層水及び地下水が広範囲にわたって有害物質により汚染され、周辺環境や家畜、人体への影響が地元住民やメディアにより指摘されてきた。流産・死産の増加、奇形出産の報告も多い。さらに、2019年から3年間にわたり続く大規模な洪水が有害物質を拡散させた可能性もある。南スーダン政府はこの問題を知りながらも対処を怠ってきた。紛争が続いてきた同国で人道支援を行っている国連機関や国際NGOも「自組織の責任範囲外」として有効な対応ができていない。限られたNGOや独立の研究者による先行調査はあるものの、個々バラバラの研究にとどまっている。
 本調査研究では、@人道支援団体として活動する当団体が油田周辺の住民に接触し汚染の影響を調査、A独自調査(医療機関の調査や水質・土壌分析などを含む)を行っている南スーダン現地のNGOや研究者への調査費用支援、B現地のNGOや研究者、ジャーナリストが研究成果の共有をはかる会議を開催(2年目に実施)、の活動を通じて汚染による住民への影響を明らかにする。成果は南スーダン国内外や日本メディアで公表、国際NGOや国連機関と共有し、医学・化学面でのより専門的な調査や治療等の対処、南スーダン政府や石油会社による補償および汚染防止策につなげる。


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グループ名
代表者名
いわき放射能市民測定室たらちね
鈴木 薫さん
応募金額50万円
テ ー マ たらちね海洋調査 〜東京電力福島第一原発周辺海域における
海水のトリチウム濃度の測定と記録〜 A
概  要

 2021年4月13日、政府は関係閣僚等会議において、東京電力福島第一原発で発生し、ALPS等によって処理した上でタンクに貯蔵されている汚染水の海洋放出を、2023年の春を目処に実施することを決定した。これを受けて東京電力は、海洋放出に向けた準備を着々と進め、2022年4月には、原子力規制委員会の認可も、県や地元自治体の了解も得ないまま、放出へ海底トンネル出口の整備工事に着手した。東京電力は地元漁業者と「関係者の理解なしにはいかなる処分も行わない」と約束しているが、市民や漁業者が反対の声を挙げているにもかかわらず、既成事実を積み上げて、海洋放出を強行してくる見込みだ。
 海洋放出を問題視・不安視する市民は多いが、東電の多核種除去装置(ALPS)などでまったく除去ができないトリチウムを測定できる市民測定室は、たらちねを除いて国内には存在しない。仮に予定通り海洋放出が開始されてしまった場合、放出前のバックグラウンドを測定できる期間は、残り1年ほどとなる。国や東電の計画通り進んでしまえば、その後の測定は、海洋放出中の経過観察のためとなり、最終的な結果を知ることができるのは、すべての放出が済んだ40年以上後のことになる。
 以上を踏まえ、たらちねでは、海洋放出を推進・容認する東京電力・政府・県などから独立した測定機関として、定点で海水の自由水型トリチウムのバックグラウンド調査を行っている。電解濃縮法による前処理を実施したことで、陸水、雨水、水蒸気、および川内原発・高浜原発近くの海水などからは、トリチウムを検出することができた。一方で、2021年度は、福島の海で、春夏秋冬4回の沖合調査、春秋2回の沿岸調査を実施したが、採取したすべての海水が検出限界(0.14〜0.17Bq/L)を下回るという貴重な結果が得られた。
 海洋放出前の定点におけるバックグラウンドの値が、こうしたレベルであることを確定するため、今年度も同様の調査を実施する。
■ 年に4回、用船をして、第一原発沖1.5kmの定点において、表層および低層(バンドーン式採水器による)の採水を行い、電解濃縮の上で、液体シンチレーションカウンターによる自由水トリチウムの測定を行う。
■ 沖合調査に準じて、年2回、福島県沿岸の漁港および沿岸の、少なくとも南北各4定点、計8定点で採水を行い、電解濃縮の上で、液体シンチレーションカウンターによる自由水トリチウムの測定を行う。
 こうしたデータは、たらちねのホームページなどで随時報告していくとともに、いわき市や福島県漁連などにも情報提供をしていく。


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グループ名
代表者名
福島老朽原発を考える会(フクロウの会)
青木一政さん
応募金額50万円
テ ー マ 福島原発事故による放射能汚染地域に住む住民の尿検査による内部被ばく実態調査
概  要

 我々は2017〜2020年にかけて南相馬20ミリ基準撤回訴訟原告を対象者として尿検査による内部被ばく実態調査を行った。この結果、南相馬市原町区北西部に住む住民は比較対象である西日本住民と比べ明らかに内部被ばくをしている実態が明らかになった。しかし該当調査から既に2年以上経過している。同被検者を対象として、その後の状況を明らかにする。
 前回の調査の結果、特に高い値(数Bq/?)を示した被験者はキノコ、山菜、イノシシ肉など食品からのものであることが明らかになった。一方で、比較的低濃度(1Bq/?以下)で上下を繰り返す被検者が多く、これらが食品からの摂取によるものか、大気中粉じんからの吸引によるものかは不明で課題として残っている。
 そこで今回の調査では、同被検者の家屋のハウスダストをおよび、被験者が常食するコメの精密測定も同時に行う。ハウスダストを大気中粉じんのセシウム濃度の指標値とし、コメを食品からの摂取の指標値として、低レベルでのセシウム体内蓄積の経路を明らかにすることを試みる。
 今回の尿検査においては被検者の尿中セシウム濃度ではなく、24時間尿中セシウム量(Cs24ex)を測定する。これは、前回の調査の論文化の過程で、同種の研究が海外で複数存在し、それらが Cs24exを体内セシウム蓄積量(ホールボディカウンタ値)と比較する際の指標値として用いられていることが判明したことによる。


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グループ名
代表者名
たまあじさいの会
古澤省吾さん
応募金額50万円
テ ー マ 田村バイオマス発電所の稼働開始による周辺への放射性物質汚染の計測と
その記録結果の拡散
概  要

 2021年3月より試験稼働を始めた福島県田村市大越地区のバイオマス発電所は、『自然との調和、地域住民との共生を基調として、環境負荷の低減を前提とした資源循環型社会への貢献を目指す』とされているものの、地元住民は、このバイオマス発電所が福島県内の放射能汚染木を燃やすことで、周辺環境への放射能拡散を懸念して、『大越町の環境を守る会』を立ち上げ反対運動や提訴をしてきた。しかし同施設の操業が押し切られる形で始まって1年が経過した。田村市は市のHPにて、『通常使用されるバグフィルタと呼ばれる集塵装置に加え、安心対策として高性能のHEPAフィルタも設置することになりました。燃料から排気、焼却灰、排水に至るまで、周辺に放射能の影響が出ることはありません』と明言しているものの、高木基金の助成を受けて昨年8月から調査により異常は明らかに見れる。本調査の目的は、同発電所の操業に起因する放射性物質の汚染の進行がないかを住民と協力して、執拗に徹底的にフィールドワークでの観測を行う。発電所周辺から大越地区全域にかけて@リネン布を毎年2〜3回、20箇所ほど仕掛けて、大気中の放射性物質の浮遊を捕捉する。A地元住民がラジログにて随時17か所の空間線量の定点観測を行うB Hot Spot Finder (HSF) にての空間線量をGoogle Map上に記録し、また風力・風速計を2箇所に設置し、大気の流れをマクロに把握して因果関係を解明するC原子力規制庁のモニタリングポストのデータの解析。これらにより汚染が実際に生じていることの実態を科学的、客観的に記録し証明する。


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グループ名
代表者名
原子力資料情報室
高野 聡さん
応募金額50万円
テ ー マ NUMOによる文献調査と対話の場の問題点と
それに抵抗する寿都町を中心とした北海道民の住民運動に関する研究
概  要

 2020年から寿都町と神恵内村で核廃棄物処分場選定に関する文献調査が進行している。特に寿都町では応募の是非を問う住民投票が拒否され、NUMOが行う「対話の場」を通じた住民への懐柔策に反発する住民も多い。しかし反対派住民の意見や苦悩が一般社会のみならず、脱原発団体にもあまり共有されていない現状がある。それに対し、本研究は寿都町住民に対するデプスインタビューを実施し、住民の主張やNUMOへの不信の理由を明らかにする。それによりNUMOが主導する対話の場が不公正で非民主的であり、行政の無責任さを露呈している事実を検証する。また反対派住民とともに問題の改善を考え、NUMOに対抗する住民主導の公論形成と地域運動に役立つ知識の創造も目指す。
 一方、北海道内には幌延町など核廃棄物管理政策をめぐる長い歴史があるので、寿都町のみならず、道内の地域活動家に対するインタビューも合わせて実施する。行政に対する北海道内の積年の不満や認識構造を明らかにし、それを幅広い脱原発団体と共有することで、核廃棄物反対の運動ネットワークの強化を行う。これらの研究の成果は、私が委員を務める経済産業省の放射性廃棄物ワーキンググループの会合や私が所属する原子力資料情報室の政府交渉でも生かすことが期待できる。その意味で現実の解決や変革を目指すために、研究と実践の相互反映を行うアクションリサーチに近い手法を、本研究では採用する。


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