「この人に聞く」の第一回、しかも初対面ということで、取材する側としても不安の多いインタビューでしたが、吉岡さんが、大変気さくにお話をして下さったおかげで、何とかかたちにすることができました。本当にありがとうございました。
用意していた質問の中で、一番期待をしていたのが、「市民科学のモデルとして、注目すべきプロジェクト・研究者」だったのですが、取材が選考の時期に重なったこともあり、具体的なお答えが頂けなかったのは、残念でした。
個人的な感想になりますが、菅波は、これまで干潟や里山の保全に深く関わってきた人間で、その経験の中で「市民科学」の重要性を痛感してきました。その意味では、吉岡さんのお話の中で、「野生生物保護よりも市民保護の方が重要」と言われてしまうと、やや立つ瀬がない(^_^; のですが、このあたりについては、今後、お話を伺う方々に、フォローして頂きたいと思います。いろいろな立場の方の多面的な意見の中で、「市民科学」を浮き彫りにするのが、この企画のねらいですから。
(市民保護より野生生物保護が重要だと言うつもりは毛頭ありません。そのような二元論の建て方自体が、保全に関わってきた人間には、うーむ、と唸ってしまうところなのです。)
それはさておき、市民科学を志す人へのアドバイスとして、「古典に学びなさい」とのお話は、説得力がありました。ちなみに、参考文献としてご紹介頂いた『原水爆実験』の画像は、菅波の自宅近くの図書館で借りたものをスキャナで取り込みました。旧版とは言え、岩波新書は、図書館で入手しやすいですので助かります。
一方、お話の冒頭に出てくる仁三郎さんの『科学は変わる』は、1979年に東経選書で出版され、1987年には社会思想社教養文庫で再販されておりましたが、大変残念なことに、社会思想社が業務を終了されたため、書店での入手が困難になってしまいました。ご覧になりたい方は、七つ森書館発行の「高木仁三郎著作集」第7巻に再録、発行されていますので、こちらをお読み下さい。(詳しくは七つ森書館ホームぺージをご覧下さい。)
仁三郎さんの著作を、特に若い世代にきちんと伝えていくことは、高木基金の重要な任務だと考えております。まだままだまだ事務局に余力がありませんが、今後の課題として取り組んでいきたいと思います。
2003年3月15日 菅波 完