高木基金2016年度アジア枠助成先 映像作品
Mong Pan Youth Association
"The Voices of Nam Khone"
(ナムホン川の声)
"The Voices of Nam Khone"について
高木仁三郎市民科学基金の15期(2016年度)助成先であるミャンマーのMong Pan Youth Association (MYA)が制作したドキュメンタリー映画『ナムホン川の声』です。
ナムホン川は、チベットを源流に中国、ミャンマー、そして一部タイを流れる国際河川で、“ダムのない東南アジア最大であり最後の川”とも呼ばれてきましたが、現在、数々の巨大ダム建設計画が持ち上がり、流域に住む少数民族の伝統的な暮らしが脅かされ、また深刻な人権侵害も起きています。
モントンダムの場合、ダムサイトから最も近い村まで10km ほどしか離れていませんが、僧侶以外、住民は誰1 人、ダム建設のことを知らされていませんでした。
MYA は、ナムホン川流域出身の少数民族の若者が中心となり、自分達の川とその地域で行われようとするダム開発について、最も影響を受けると考えられるモンパン、モントン、クンヒンの3 つの市町に絞り、地域のキーパーソンである僧侶の力を借りながら現地の人々とつながり、自分達の見聞きしたものや住民の声を拾い集め、ドキュメンタリー映画という形に仕上げました。
この映画は、MYAの若者たちの成長の記録ともいえるものです。
(高木仁三郎市民科学基金 アジア担当プログラムオフィサー 白井 聡子)
Mong Pan Youth Association 助成申込書より
中国を源流とし、ミャンマーを経てタイに注ぐ国際河川のナムホン川(別名:サルウィン川)流域には、モントンダム建設計画が持ち上がり、30万人が立ち退きを強いられるなど、大きな人権侵害が起こっています。ミャンマーでは、今後もこのような大規模開発が予想されているため、本調査研究では、この巨大ダム計画の影響を受ける可能性のある人々の声を集め、ドキュメンタリービデオを制作します。事業者が住民の声を知ることが、公平で持続可能な開発と平和を実現する第一歩になるものと考えています。
本調査の成果物であるビデオが、巨大開発計画の社会的・文化的、さらに環境に関する懸念を明らかにし、事業主体者含む利害関係者にとっては、人々の懸念を理解する一助となり、市民や社会の周縁部の人々(地域住民)にとっては、ダム開発という自らが影響を受ける案件に関して意見を述べ、意思決定に参加できるようなツールの役割が果たせることを目的にしています。
また、当団体の若いメンバーが、ナムホン川流域住民とつながることで、地域の持続可能な開発はもちろん、流域住民への社会的正義の実現を目指していきたいと考えています。