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市民放射能測定支援事業

(2012年度〜2015年度)

高木基金 市民放射能測定支援事業の経緯と今後について

(2015年3月29日の第7回研究交流会の資料より)

 高木基金が、放射能測定の支援事業を開始したのは、ちょうど3年前2012年3月でした。

 東京電力福島第一原発事故を受けて、高木基金は5月に緊急助成を募集し、7月に助成先を決定、10月には中間報告会を実施するなどの緊急対応を迫られました。2011年12月に締めきった2012年度助成の募集では、各地で立ち上がりつつあった市民放射能測定所から、高額の放射能測定機器の購入費用を助成して欲しいという応募が多数寄せられましたが、高木基金の助成予算ではとても対応できない状況でした。高木基金としては、特に放射能測定の問題は、予算の範囲内で少数の応募者に資金の助成をするよりも、放射能測定に関わる市民グループの関係者が顔を合わせ、情報交換や経験交流を行う場を提供することの方が効果的だと考え、放射能測定に関わる「研究交流会」を連続して実施していくこととしました。

 幸い、この活動には、公益財団法人日本国際交流センターから、3年間にわたる助成が得られることとなり、選任のスタッフ(プログラムコーディネーター:小山貴弓)を採用し、これまでに6回の「研究交流会」を実施してきたほか、各地の市民放射能測定所を訪問して、技術的なアドバイスをするなどの活動を積極的にすすめてきました。

 「研究交流会」のテーマは、基本的な測定技術の講習、各種測定機器の性能比較などからスタートしましたが、この3年間で、特に二つの大きな成果をあげてきたと考えています。

 一つは、市民放射能測定所の測定精度を確認するための「基準玄米キット」を製作し、測定精度検定の仕組みを確立したことです。「基準玄米」は、福島原発事故により汚染してしまった玄米を、キログラムあたり、Cs134とCs 137の合計値で100Bq、30Bq、10Bq、5Bqのおおよそ4段階の濃度に調整し、ゲルマニウム半導体検出機で正確な「値つけ」をしたものです。この「基準玄米」を測定し、誤差を統計的に評価する仕組みとあわせて、測定精度を統一的・客観的に評価する手法を確立しました。「基準玄米」の測定結果は、測定機器メーカーに精度改善を求める際の重要なデータとしても活用されました。メーカー側が、改善した解析プログラムの資料に「基準玄米」の測定結果を参考値として表示したことは、「基準玄米」が一つの評価基準として認知された証拠といえます。

 もう一つは、食品などの放射能測定結果を一般にもわかりやすく表示する「みんなのデータサイト」を立ち上げたことです。これは、「研究交流会」での議論をもとに、測定結果のデータベース製作に先行して取り組んでいた福島の市民放射能測定所と連携し、データベースのシステム構築及び、親しみやすいウェブデザインなどにも多くの方の協力を得られたことで実現しました。現在、各地で活動する約30の市民放射能測定所がデータの登録及び運営に参加し、登録されたデータの件数は1万件を超えました。「みんなのデータサイト」ができたことにより、それぞれの市民放射能測定所のデータが統一的に蓄積され、一般の方にも、専門の研究者にも活用される(できる)ようになりました。「みんなのデータサイト」の参加測定室には、「基準玄米」による精度検定が義務づけられており、世界的に見ても。注目されてしかるべき取り組みになったのではないかと考えています。

 「みんなのデータサイト」は、放射能測定結果のデータベースとしてだけでなく、各地の市民放射能測定所が連携して活動していくためのプラットフォームとしても重要な役割を果たすようになってきました。一方で、この3年間の測定支援事業の財源となっていた日本国際交流センターの助成は、支援事業に含まれる「ブックレット」の作成をもって、まもなく終了します。このため、2015年度以降、高木基金としての支援事業は、規模を限定的なものとせざるを得ない状況がありますが、今後も「みんなのデータサイト」との連携を図りつつ、年間1〜2回程度の「研究交流会」の開催を継続していきたいと考えています。

 この3年間の測定支援事業は、多くの市民放射能測定所のみなさんの積極的なご参加によって、実りあるものになったと考えております。あらためてお礼を申し上げますとともに、今後の活動についても、ぜひ、ご協力をいただきますよう、よろしくお願いいたします。

市民放射能測定支援事業のブックレット



 放射能測定支援事業について、わかりやすくまとめたブックレットができあがりました。福島原発事故により、私たちは日常的な生活空間や食品などの放射能汚染に、長期にわたって向き合わざるを得なくなりました。このブックレットをぜひ多くの方にお読みいただき、活用していただきたいと考えています。

 ブックレットについては、こちらのページをご覧ください。



高木仁三郎市民科学基金 測定支援事業の経過

2011年 3月11日
5月
7月

11-12月

東日本大震災・福島原発事故発生
「福島原発事故を受けての緊急助成」募集開始
「緊急助成」の助成先(8件、合計500万円)決定
この中で、名古屋の市民測定所「C-ラボ」に100万円を助成
2012年度の助成公募に、放射能測定に取り組もうというグループから
多数の応募。多くは、測定機材の購入代金を助成してほしいというもの
2012年 3月
3月


3月25日
7月15日


9月
9月15-16日
日本国際交流センターからの助成決定(320万円×3年間)
高木基金として2012年度の助成先を決定
(この中で測定関係は7件、合計300万円)
同時に、助成応募者にも呼びかけて「研究交流会」を実施することを決定
愛知県名古屋市で第1回の研究交流会を実施(参加測定所16ヶ所)
東京・足立区で第2回の研究交流会を実施(参加測定所 8ヶ所)
この場で、市民測定所の測定結果を一覧できるウェブ上のデータベース
構築のアイデアが持ち上がる
測定結果のデータベースについて、高木基金とCRMSの打合せ
福島県いわき市で第3回の研究交流会を実施(参加測定所 14ヶ所)
2013年 1月14日
3月17日
7月 7日
9月 7日
9月20日
9月29-30日
11月24日
12月15日
みんなのデータサイト「キックオフミーティング」
みんなのデータサイト「スタートアップギャザリング」
東京・日の出町で第4回の研究交流会を実施(参加測定所 14ヶ所)
みんなのデータサイト「オープニングフォーラム」
福岡の測定所を訪問しアドバイス
札幌の測定所訪問および市内で一般向けの講演会実施
みんなのデータサイト打合せ
みんなのデータサイト打合せ
2014年 1月 4日
2月22-25日
4月 6日
4月16日

5月18日
6月20-21日
8月3日
9月28日
11月1-3日
11月29日
みんなのデータサイト打合せ
福島県内の市民測定所を訪問
茨城県つくば市で第5回の研究交流会を実施(参加測定所 9ヶ所)
応用光研を訪問し、レクチャーを受けるとともに解析プログラムの
改善を要望(仙台、都内2ヶ所、名古屋、福岡の市民測定所と同行)
みんなのデータサイト「グローイングアップミーティング」
みんなのデータサイトデザインおよび運営全般の打合せ(合宿)
みんなのデータサイト総会
みんなのデータサイト二次開発お披露目・土壌測定スタートイベント
福島県内の測定所を訪問
東京・市ヶ谷にて第6回の研究交流会を実施(参加測定所 16ヶ所)
2015年 1月31日
 -2月1日
3月29日
みんなのデータサイト土壌プロジェクト、埼玉での講習会

第7回研究交流会/みんなのデータサイト土壌プロジェクト交流会



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